「スポットワーク」が2200万人規模に急拡大…タイミーが開拓しメルカリも参入、スキマ時間の労働力が争奪戦に
■ フードデリバリーの配達員はスポットワーカー? スポットワークと似た言葉の働き方として「ギグワーク」と呼ばれるものがあります。スキマ時間に短時間働くという意味では同じですが、雇用契約の有無が大きな違いです。 ギグワークは一般的に、企業に属さず雇用契約を結ばないで業務委託で働く働き方を指します。「ギグ」はもともとは音楽業界で使われていた言葉で、それぞれ得意の楽器を演奏するミュージシャンが集まり、即興で演奏するスタイルを意味しています。それが、単発で仕事を請け負う働き方も意味するようになりました。 フードデリバリーの配達員が代表例です。配達員は個人事業主として、アプリに登録している飲食店から配達業務を委託しています。業務委託は企業と雇用契約を結んでいないため、企業の指揮命令を受ける立場になく、仕事の進め方など裁量権の大きいのが特徴です。 一方、スポットワークも単発で仕事をするという意味では似ていますが、就業先と雇用契約を結びます。そのためスポットワークは「雇用型ギグワーク」とも呼ばれ、労働基準法で保護されます。労災の給付を受けられ、最低賃金も保障されています。雇用契約を結ぶため、就業先企業の指揮命令に従う必要があり、仕事の進め方や働く場所などが決められています。
■ メルカリが最大手タイミーを猛追 拡大する市場を狙い、足元では企業の参入が相次いでいます。特にすでに本業で巨大な顧客基盤を持つITや人材大手が、シナジーを狙って参入する例が目立ちます。 フリマアプリ運営のメルカリは3月にスポットワーク仲介サービス「メルカリ ハロ」を開始しました。5月末時点で登録者が500万人を超えたといい、登録者が700万人で業界首位のタイミーを猛追しています。 メルカリは将来的に、働いた給与を自社のスマホ決済「メルペイ」で受け取り、メルカリや日常の買い物での支払いに活用してもらうといった仕組みの構築も視野に入れています。スポットワークをポイント経済圏への囲い込みの手段にしたい考えです。 LINEヤフーは、マイナビとの提携で事業を強化します。同社は21年からスポットワーク事業の「LINEスキマニ」を展開していますが、マイナビと業務提携し、営業や商品開発分野での連携を強める計画です。リクルートホールディングスもスポットワークに特化した求人サイトを今秋に立ち上げます。 市場の拡大に伴い、スポットワーカーのスキルアップを支援する取り組みも広がっています。