“濃密な情事”では後ろから抱きつかれ人差し指を口に突っ込まれ…「悪女」「しごでき」キャラの女優・菜々緒が放つ“存在感”
ちなみに昨年は『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系)で主演していましたが、こちらもしごできの忍者妻という役どころでした。
これまでのキャリアを逆手に取った“無能キャラ”
こうして悪女キャラ、しごできキャラを自分のものにした菜々緒さんが、現在主演しているのが『無能の鷹』。 彼女が演じる主人公・鷹野ツメ子は、エレガントな見た目や所作で、どう見ても超有能な中堅エース級の風格を備えています。しかし、その正体は衝撃的に無能な新入社員で、PCの起動の仕方がわからない、コピーもろくに取れない、「燃費」を「もえぴ」と読むといった、しごできとは真逆のキャラなのです。 インテリジェンスを感じさせる落ち着いた口調で「難しいことを考えると頭が痛くなるんです」、悪びれもせずにさわやかな笑顔で「私、“なにがわからないのか”わからない」など、迷言を連発し、シュールな笑いを生み出していきます。 鷹野ツメ子は菜々緒さんの新たなアタリ役となりつつありますが、なぜ悪女キャラやしごできキャラで高評価を獲得してきた彼女に、無能キャラもハマっているのでしょうか? それは、これまで菜々緒さんが演じてきた悪女キャラやしごできキャラの数々が、お笑いでいうところの壮大な“フリ”になっているからだと筆者は思うのです。 菜々緒さんに悪女やしごできのイメージがあまりに強く、一見すると超有能に見えるという物語の根幹設定にしっかりと説得力があるため、仕事が全然できないというキャラがカウンターとなり、新鮮に映る。もちろんそのギャップを計算したうえで、これまで積み上げてきたキャリアをあえて逆手に取るという、大胆な役選びが功を奏したのではないでしょうか。 これまでの役者人生を布石として臨んだ『無能の鷹』、もしかすると菜々緒さんにとって最大の代表作となるかもしれません。
堺屋 大地