ワクチン接種後の腫れはステロイドで改善できるが…どの部分に注射したか獣医師に確認を【ワンニャンのSOS】
【ワンニャンのSOS】#86 コロナ禍で普及したワクチンは感染症予防にとても重要ですが、接種すると、その部位が赤く腫れることがあります。動物の場合、ヒトより注意が必要ですから、今回はその点についてお話しします。 無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議 「右脚のつけ根の外側にしこりができて、触ると痛がるんです」 そういって飼い主さんが生後4カ月のネコちゃんの診察に来られました。ペットショップで購入して自宅に連れてきて1カ月。しこりに気づいたのは10日前だそうです。確認すると、脚のつけ根というよりお尻に近い。子猫でこの部位にしこりができることは通常、ありません。 それで気になったのがワクチンです。話を聞くと案の定、10日ほど前に他院で接種されていました。そうなると、ワクチン接種後の局所腫瘤の可能性が高い。 飼い主さんに注射しているところを見たかうかがうと、見ていなかったので、元の獣医師にお尻にワクチンを接種したか確認してもらうと、私の推測通りでした。 最近、企業が運営する動物病院では、治療や処置の際にペットを処置室に連れて行き、治療の現場を飼い主さんに見せずに済ますことがあります。それで、副作用や後遺症がゴマカされることは少なくありません。 ■まれに悪性と診断されることも ワクチンによる局所腫瘤は、ほとんどが良性ですが、まれに悪性と診断されることがあります。その場合、ワクチン接種による副反応としてメーカーと接種した動物病院が連携して治療することで、治療費はメーカーが補償します。治療費負担の点からも、その時点では当院で治療を続けることは、飼い主さんに不要な治療費を求めることになるので、よくありませんでした。 その飼い主さんは元の病院に戻り、治療を受けましたが、その手順にも不信感が募り、治療後は当院を再受診されたのです。その元の病院は当初、ワクチンの副反応を疑わず、若年性の腫瘍として治療を進めたものの、うまくいかず腫れがさらに増大。そこで治療を切り替え、ステロイド剤の注射で改善したといいます。 ワクチン接種後の腫瘤が良性なら、アレルギー反応ですから、それを抑えるステロイドで治るのです。元の病院がこの段階でステロイドを使用したのは、ようやくワクチンが原因とする可能性を疑ったと思われます。ひどい流れですが、悪性への変化がなくていまは何よりですが、元の病院では費用を請求されたようですから、ひどい対応といえます。 もし治療や処置を見せない病院でワクチンを接種して、その部位が腫れてきたら、担当医にどこにワクチンを接種したかを確認した上で対応してもらうことが大切です。 (カーター動物病院・片岡重明院長)