【アイスホッケー】「いつも、自分を信じること」。伊藤崇之(東北フリーブレイズ)と古川駿(横浜グリッツ)の才能。(前編)
「うらやましかった」古川駿との再会。
ヨーロッパで3年プレーを続けていく中で、新しいチームからオファーが来た。アジアリーグの東北フリーブレイズからだった。 編成の担当は、チームの総監督でもあるクリス若林。「君が入ればウチはGKが4人になるけど、来る気はありますか?」と言ってくれたのだ。若林は、伊藤がヨーロッパでキャリアを積んでいること、そして海外からSNSを通じて日本のホッケーに変化を与えようとしていることも、わかってくれているようだった。 伊藤には、念願のアジアリーグから声がかかった瞬間だ。 だが、先述したように、2022-2023シーズンのフリーブレイズは、当時アジアリーグでただひとつの「GK4人制」のチームだった。 GKは伊藤のほかに、橋本、畑、そして古川駿。古川は伊藤と同い年で、この学年では唯一、大学を卒業した時に、もっと正確に言うと大学卒業を待たずにアジアリーグに入ったトップゴーリーだった。 2018年の大学4年のインカレ。伊藤にとって大学最後の公式戦の相手は、東洋大学であり、古川だった。結果は東洋の5-2。法政はベスト8止まりで、古川を擁する東洋は決勝まで勝ち上がっている。 「駿は大学のGKの中ではトップでしたし、アジアリーグに入っても、彼は最初から全日本選手権の決勝に出ていたんです。単純に、うらやましいなと感じました。何とかして駿に追いつきたい。そう思ったのを覚えています」 2022年の夏。伊藤にとって4年ぶりの「日本のチーム」でのシーズンインだった。 それは同時に、45歳の橋本、32歳の畑、そして同じ26歳の古川駿との競争の始まりだった。 (前編、終わり) いとう・たかゆき GK。1996年4月14日生まれ。183センチ、77キロ。長野県長野市出身。軽井沢グリフィンズ、長野イーグルスを経て、高校は茨城・水戸啓明へ。法政大学を卒業後、フィンランド3部の「レーザーHT」で2年、フランス4部の「シャンピニー・ホッケークラブ」に1年在籍し、2022-2023シーズンより東北フリーブレイズに入団。2年目の今季は、全日本選手権で決勝のマスクをかぶるなど、力をつけている。背番号は「33」。弟は、栃木日光アイスバックスのFW・俊之。 ふるかわ・しゅん GK。1996年8月29日生まれ。183センチ、80キロ。青森県八戸市出身。八戸ジュニア、八戸東ジュニアを経て八戸二中、八戸工大一高、東洋大学へ進学。大学4年のインカレ終了後、2018-2019シーズンに東北フリーブレイズに入団する。大学在学中から日本代表の合宿に呼ばれるなど資質を高く評価されていたが、2022-2023シーズンで退団。今季から横浜グリッツへ移籍する。当初は3番手スタートだったが、シーズンが深まるにつれて主戦GKへ立場を変えた。背番号は「34」。
山口真一
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