【アイスホッケー】「いつも、自分を信じること」。伊藤崇之(東北フリーブレイズ)と古川駿(横浜グリッツ)の才能。(前編)
「海外の人は、失点して負けた僕を励ましてくれた」
大学を出て最初の2年間は、フィンランドの「レーサーHT」でプレーした。 「フィンランドは、パスホッケーが根付いているんです。スケーティングで対応するスタイルじゃないと通用しない。最初は苦労しましたが、だんだんフィットしはじめて、2年目は開幕戦からスタメンで出られたんです」 続いて「シャンピニー・ホッケークラブ」。2年間在籍していたフィンランドのチームの経営が思わしくなかったこともあり、3年目はフランスの4部リーグでプレーを続けた。 海外でアイスホッケーを続ける中で、伊藤は徐々に、自分の中で「考えの変化」が生まれてくるのを自覚したという。 「やっぱり日本人とは違うんです。たとえば試合で負けた後、日本人なら普通は落ち込みますよね。でも、ヨーロッパ人は本当に、ケロっとしているんです」 ヨーロッパの人は負けた後に「ホッケーは点が入るスポーツだから、今日はたまたま敵の点数が多く入ったってだけだよ」と声をかけてくれた。そして「タカ、お前は今日の試合でよくやったじゃないか」と言って、元気づけてくれるのだ。 「ホッケーの本場の人がそう言うってことは、まあ、そうなのかもしれないなって僕も思うようにしたんです」 水戸啓明高校で監督をしていた吉澤忠さんは、伊藤の「変化」に気づいた1人だ。 「崇之は、人の言うことを素直に聞き入れるようになったと思います。海外に行ったことで、一番変わったと思うのはそこかな。彼がお寺を継ぐのはまだ先になるでしょうが、いい僧侶になると思いますよ」(吉澤さん) もしかしたら、伊藤を縛り付けている心の「鎖」のようなものが、ヨーロッパで暮らすうちに軽くなったのかもしれない。 伊藤は「海外に行く前」と「海外を経験した後」について、こう話している。 「考えてみれば、日本にいたときも同じように声を掛けてもらっていたんです。でも、それじゃあ上には行けないだろって、自分で跳ねのけていた。僕にはずっと、そういうプライドがあったんです。学生時代は、自分のプレーがうまくいかない時は感情を表に出していた。特に大学の2、3年のときは、長くて暗いトンネルの中にいたような気がします」
【関連記事】
- 【アイスホッケー】オリンピック3次予選・最終戦 3試合連続で逆転勝ち。ランク上位のハンガリー下し、日本は最終予選へ進出!
- 【アイスホッケー】オリンピック3次予選・第2戦 日本はスペインに逆転で2勝目、全勝で最終のハンガリー戦へ!
- 【アイスホッケー】オリンピック3次予選・第1戦 日本はリトアニアに逆転勝利
- 【アイスホッケー】 平野裕志朗(AHLユティカ、ECHLアディロンダック)五輪予選直前インタビュー 「結果を残して、若い人や子どもたちが歴史を書き換えてくれるのを楽しみにしたい」
- 【アイスホッケー】橋本 僚(レッドイーグルス北海道)ロングインタビュー後編「僕自身、キャリアの終盤に差し掛かっている。新しいこと、今まで気付かなかったことを探して日々、やっています」