「子どもの話題以外、妻と会話がありません」夫婦関係に悩む男に精神科医が示した解決法
身近だからこそ難しい、夫婦の人間関係。
今回、精神科医の名越先生が解決するのは、夫婦のコミュニケーションにまつわるお悩みだ。
【Question #05】妻が私とのコミュニケーションを拒否している気がします
今年で結婚10年目、周りからはいい家族だと言われますが、実は子どもの話題を除くと、ここ数年夫婦で会話をした覚えがありません。子どもの学校のことや友達のことなど、会話はあるので安心していたのですが、妻が私と子ども以外のことでコミュニケーションをとることを拒否しているようにも思えます。気のせいかもしれませんが、子どもが独立したあとのことを考えると不安です。（38歳・長野県）
【Answer】夫婦間のコミュニケーション上の役割を、自分で決めてみるのはいかがでしょうか。
この方が、普段どんなふうにパートナーとコミュニケーションをとっているかにもよると思います。例えば、朝起きたときに妻と自分のどちらが先に挨拶をしているか。 「意識したことがなかった」、もしくは「挨拶はしていない」というのであれば、今後は「自分から挨拶をする」と決めてみるのはどうでしょうか。 「おはよう」と、必ず自分から先に声をかける。そして、妻が毎日朝食を作ってくれるのなら、「美味しかったよ」「ありがとう」と、相手に対して感謝の言葉を口にします。 また、「今日はいい天気だね」といった何でもないようなことでも、たまに話しかけてみましょう。 夫婦の会話は、まずは内容よりも回数。挨拶や何気ない会話を日に数回交わしたうえで「いつもありがとう」「何かやることある？」などと、相手を気遣うひと言がかけられたらさらにグッドです。
多くのご夫婦、あるいは職場仲間でも、関係が日常に流されてしまって、自分の方から相手に対してウェルカムな態度を示せなければ、人間関係は日を追うごとに希薄になっていきます。 この方のように、相手を思い計る気持ちはあるが、夫婦の会話がなくて不安ということでしたら、夫婦間のコミュニケーション上の役割を自分で決めるのはどうでしょう。 毎朝“自分から挨拶をする”というのもひとつの役割ですし、妻から「行ってらっしゃい」と言われる前に自分から「行ってきます」を言うだとか、ちょっとしたことでいいと思うんです。 自分なりのルールを決めてしまえば、それがきっかけとなって会話を増やすことにつながっていきます。 さらに、会話の機会を増やす手段としては、ペットを飼うのもよい方法です。家庭で生き物を育てることは子どもの情操教育にもよいですし、家族間のコミュニケーション促進にもひと役買ってくれます。
