激重! バカでか! トラックのタイヤとホイールはどうやって組んでいる?
現在はチューブレスタイヤが主流
タイヤはトレッド部(接地面)にゴムが使用されており、それは走行することによってすり減っていく。こうして、寿命を迎えたタイヤは交換しなければならない。このとき、摩耗したタイヤをホイールから外して新たに装着することになるのだが、よく見るとタイヤはホイールの内側にしっかり止まっていて、簡単に外れそうにないのである。 【写真】あんなの何に使うの? トラックのスペアタイヤから垂れ下がっているチェーンの正体 トラックタイヤの表記は一様ではないが、225/85R-22.5や11R-22.5などと記載されていることが多い。このなかにある「22.5」がタイヤ内径を示しているのだ。これに対してトラックホイールのサイズ表記は、22.5-7.5などとなっている。この「22.5」がホイール外径を表している。このタイヤ内径とホイール外径が一致しなければ、両者を組み込むことができないのだ(このほか、タイヤ幅とホイール幅も許容範囲に合わせなければ組み込み不可能) 。 とはいえ、タイヤの内径部分にホイールを押し付けても組み込むのは難しい。ホイールの淵にはフランジと呼ばれる出っ張りがあり、これが邪魔をしているのだ。ただ、タイヤはゴム製品だから伸ばせば組み込めそうに思うが、そう簡単にはいかないのである。タイヤの内径部分はビードと呼ばれ、内部に丈夫なワイヤーが入っており、伸ばすのは容易ではないからだ。 現在では、チューブレスタイヤが主流になっている。これは、チューブを使わずに直接タイヤに空気を入れるシステムだ。ゆえに、エア漏れを防ぐという観点からも、タイヤとホイールの接点であるビードとフランジは重要で、ともに強靭且つ高い密閉性を有していなければならない。ゆえに、タイヤとホイールはその内径と外径が一致していても、手で押し込む程度では組み込めないのだ。
交換にはタイヤチェンジャーが使用される
そこで、タイヤ交換に使用されているのがタイヤチェンジャーと呼ばれる機械だ。これは、基本的に電気を動力としてエアや油圧などで力を増幅し、タイヤを組み込む装置である。作業の際に、ポイントになるのはホイールにある「ドロップ」と呼ばれる凹みだ。ここにタイヤのビードを当てることで、反対側のビードがフランジを越えられるようになる。あとは、タイヤチェンジャーの「ビードブレーカーディスク」などが、タイヤを押し付けるようにしながら、ホイールを固定したターンテーブルを回して組み込んでいく。 このように、いまではタイヤチェンジャーを備えた専門ショップでタイヤ交換をするのが一般的になっている。以前はタイヤレバーなどの簡単な道具で、脱着を自ら行う運送事業者も多数存在した。これは、 ・タイヤの偏平率(タイヤ偏平率=タイヤ断面高÷タイヤ断面幅×100)が高かった ・チューブタイヤ、ノーマルタイヤが主流だった ということで、タイヤ全体に柔らかな弾力性があるなどし、人間の力業でも対処が可能だったからであろう。軽トラックや小型トラックのタイヤぐらいなら、道具を使用せずに組み込むような強者のドライバーも多数いたぐらいだ。 しかし、タイヤには大きなエア圧がかけられているため、ひとつ間違えば大きな事故につながる。とくにトラックタイヤはその危険性が高いだけでなく、相当の重量があるので扱いには慎重さが求められるのだ。やはり、安全性、効率性、作業環境改善性などを考えれば、こういった作業の専業化は時の流れといえるのかもしれない。
トラック魂編集部