【独自】渦中の経営者を直撃…悪質M&Aは介護業界にも 「本当に異常」残高わずか4000円 全員退去の施設も 警察は捜査できず【調査報道】
A氏がM&Aを行っていたのは、介護事業を中心に、全国で10社近くにのぼります。その多くで同じようなトラブルが起きていました。 A氏に話を聞くため、記者が関係先を探していると、A氏が使っているという高級外車が… 記者 「Aさんですか?介護事業所のM&Aの件について…キャバクラで法人カードを使われたりとか?」 A氏 「あれは接待であったり、金額自体は自分の給料と相殺している」 記者 「お金を抜いて逃げる手法を取っているように見えるが?」 A氏 「それはもう全然、間違いだと思います」 記者 「返金されたりとかは?」 A氏 「じゃあ僕の給料はどこからあるの?と逆に聞きたい」 記者 「経営する気はある?」 A氏 「元々、もちろんもちろん」 使った金は、自分の給料や接待などの経費であり、経営状態も買った時より改善していたなどと主張したA氏。 三重県の老人ホームが3か月で閉鎖したことについても、「職員がいきなりやめると言ったから」だとしました。 再び、デイサービス施設の代表に戻った水落さん。現場に専念するためにM&Aを行ったはずが、膨らんだ借金を抱えたまま、経営を続けています。 水落さん 「(ボーナスは)無理しなくていいからねと、なんならいらないよと。そんな言葉をスタッフに言わせるのがとても悲しかったですね。それはもう怒りでしかない」 ■警察も捜査できず・・・どうすれば? 小川彩佳キャスター: 介護の現場は、人としての尊厳を持って人生を全うするための、最後の砦でもあると思いますが、そうした場所をこのような形で混乱させるのは大変許しがたい行為ですよね。 調査報道部 小松玲葉記者: 本当に悪質だと思います。今の介護事業者を取り巻く環境なんですが、ほとんど個人で経営しているような小規模な事業者が多いという特徴があります。また、そういった方々の高齢化も進んできました。物価高や人材不足という様々な問題にも直面しています。こうした背景から、M&Aによって経営を引き継ぎたいと考えている方が多い一方で、毎月安定した介護報酬が入ってくるという、悪質な買い手にとっては魅力的な条件が揃っているという側面もあります。