【独自】渦中の経営者を直撃…悪質M&Aは介護業界にも 「本当に異常」残高わずか4000円 全員退去の施設も 警察は捜査できず【調査報道】
水落さん 「法人口座を開けた時に、残高4000円ですよ。どこに何に使っているのって」 経営を譲った直後の数日間に600万円近くが引き出されていたことや、その後、新たに1000万円の借金をした直後にそのほとんどが引き出されていたこともわかりました。 さらに、毎月の介護報酬を受け取る権利を業者に売って一定額を前払いしてもらう「ファクタリング取引」をして経費の支払いをしのいでいたような実態もありました。 従業員の給料は払えるのかと聞くと… A氏 「正直、今はもう給料分をどうこうしようという力がなくて、一時的に立て替えてもらえないかなと」 水落さん 「立て替える?」 A氏 「明後日、じゃあ給料払うって言ったところで、どうしようも今できない」 このままでは施設が潰れてしまうと水落さんがA氏に迫ると、A氏は自ら辞任し、その後、連絡が取れなくなりました。 水落さん 「絶対に許せないという思いでしたね。ここまでやってくれたかと」 ■A氏に直撃…語った主張は 水落さんは、A氏を刑事告訴できないかと警察に相談しました。しかし、警察の判断は「捜査はできない」というものでした。 水落さん 「『えなんで』という気持ちだった。これだけの被害が及んでいる」 警察からは「出資持分100%を持つと社長は何に使っても問題はない」と説明されたと言います。 中小企業のM&Aに詳しい弁護士は、株式や出資持分を経営者1人が全て持つ場合、罪に問うことは現実的に難しいと話します。 中小企業M&Aに詳しい 柴田堅太郎弁護士 「問題の根幹は、会社は基本的に株主のものなので、株主が自分で現預金抜いても、基本的にはもう俺の勝手だろっていうことなんですよ。会社をつぶすことそれ自体は別に犯罪じゃない。もちろん、それはみんなに迷惑をかけるのですが」 水落さんは今、A氏を信用してしまったことを後悔していると話します。 水落さん 「いろいろ調べる中で、国が推奨する中の一つである(センターの紹介だと)しっかりしている、間違いはないんじゃないかと思った。私も法的なことはよくわからないので、そういうところを狙っているのではないか」