地雷ゼロへ、ロシアが逆風に 条約に大国不参加で問われる日本の手腕
対人地雷禁止条約(オタワ条約)の運用会議が25日、カンボジアのシエムレアプで始まった。同会議は2025年までの地雷全廃を目標としてきたが、ウクライナでロシアによる地雷汚染が広がるなど、情勢は厳しい。非締約の米ロなどを巻き込む効果的な一手を打つことが急務で、来年の議長国を務める日本のリーダーシップも問われる。 【写真】カンボジアで掘り出されたクラスター弾の不発弾 「ロシアの違法な侵略で、新たな地雷被害が生まれている。強く非難する」。25日の会議中、カナダの代表者が80カ国以上からの参加者を前に、語気を強めた。 地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)が公表した報告書によると、被害が深刻化している国の一つが、ウクライナだ。 ■米国の地雷提供に集まる注目 ロシアが22年に侵攻して以来、ウクライナでは少なくとも13種類の対人地雷が使われ、1千人以上が死傷した。国土の4分の1が地雷や不発弾で汚染され、除去には数十年かかるとされる。 こうした中、米国は11月、ウクライナに対人地雷を提供すると発表。一定期間がたてば作動しなくなる型式だとし、「戦後の民間人への脅威にはならない」と主張した。 地雷には自動的に機能を停止したり、自爆したりするタイプもあるが、条約はあらゆる対人地雷の使用や貯蔵、生産、移譲を禁じており、ICBLは21日、「ロシアによる地雷汚染に新たな地雷が加われば、復興への道のりがより複雑化する」と声明で非難した。
朝日新聞社