ついに樹齢7000年の縄文杉に出会う! 屋久島・縄文杉を見に行く過酷だった10時間トレッキング【後編】
映画の世界とそっくり! あの場面を思い出す場所?
さて、これからここまで来た道を引き返すのか、と思いながら縄文杉をあとにした筆者たち。そこからまた4時間ほど歩きました。一度通った道のため、トロッコ道がどれほど長く続くのかもわかっています。ひたすらしりとりをしたり、脈絡もなく歌い出したり、急に黙ったりしながら辛抱強く歩きました。 そして14時頃。ついにガイドさんが「一度ここで休憩にしましょう」と言ってくれました。 ガイドさんについていくと、来た道を引き返している途中だった道から逸れていきます。どこへ向かうのかと思ったら、5分ほど歩いた先に突然清流が現れました。エメラルドグリーンの川が広がる、河原に出たのです。 その日は快晴だったため。川面を太陽が気持ち良く照らし、今まで見た川の中で最も透き通っている水でした。実は縄文杉を目指しながら、時々川の流れる音が聞こえていましたが、それはここからだったのかとも密かに思いました。 『もののけ姫』に登場する森のモデルとなったとされる屋久杉の森。たしかに見渡すと巨木があちらこちらに立っており、生物や植物が全て巨大な太古の森・もののけの森を思い浮かべます。 しかし、この河原は「なんとなく似ている」を超えて、完全に主人公2人が初めて邂逅する場面にそっくりでした。大きな岩がごろごろとそこらじゅうにあり、両側に雄大な緑が広がります。今にも森の奥から大きな山犬が登場しそうでした。 筆者たちにとっては、ここが最も興奮したスポットでした。都会に住んでいると、こんなに澄んだ川の音は聞けません。 それに、最初に屋久島へ行こうと決めた目的は、『もののけ姫』に登場するもののけの森のモデルとなった場所だから、というものでした。今まで何度も見返した『もののけ姫』の情景が目の前に広がり、当初の目的を無事達成できたことで、この大変なトレッキングもしてよかったと思えたのでした。
再びあの難関! 渡らないと帰れない!
映画のワンシーンのような風景を目の目にして心穏やかになったところで、再出発です。再び来た道を戻ることになるため、当然行きの道でも渡った、あの恐怖の橋が登場します。 あんなに清々しい気持ちで清流をあとにしたのに、橋のことをすっかり忘れていたらしい友人たちは行きと同じく絶望を顔に浮かべています。筆者は、行きと違って日も昇って明るいからと、動画を撮りながら渡りました。 足場はトロッコも通れるよう鉄でできているため頑丈ですが、手すりがなく高度があるため、風が吹くと友人たちは縮こまりながら「風吹かないで!」と、自然に向かってキレていました。 ついには橋の真ん中あたりでしゃがみこんでしまい、「無理です! 棄権します!」と、意味不明なことを言い出す始末(スポーツ大会じゃないんだから……)。ここに置いていくわけにも行かず、「早く帰ってホテルでうまい酒を飲もう!」など、あの手この手で励まし、なんとか渡らせました。