ロシアが核戦略見直し決定、使用の歯止め外れることに懸念 その背景は、対ウクライナで核攻撃の可能性は?
「最終的に交渉は決裂した。同誌はその原因について、よく引き合いに出されるウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでの虐殺でウクライナ側が態度を硬化させたというものではないと指摘。ウクライナが事前に欧米に打診しないまま交渉を進め、安全保障提供などについて米国などの理解が得られなかったことに加え、米国もウクライナへの軍事支援を優先すべきと判断、ウクライナも支援があればロシアに勝利できると考え、交渉離脱を決めたというのが真の理由だとしている」 「プーチン大統領は『イスタンブール・コミュニケ』を土台に交渉できるとしながら、『現在の現実を見据えるべきだ』とも強調している。現時点でロシアが優勢にある戦況を踏まえるよう求める発言で、要求のハードルを高めてくることが予想される」 「交渉が始まったとしても、NATO加盟問題で難航することが予想されるほか、領土という厄介な問題を解決しなければならない。『イスタンブール・コミュニケ』ではクリミアの帰属について10~15年かけて解決するとする一方、ウクライナ東部・南部のロシア占領地については双方の首脳会議で決着を図るとして、触れていない。領土について双方の主張には大きな隔たりがあり、その解決は容易なものではない」
― * ― * ― 畔蒜泰助氏 69年生まれ。早稲田大政治経済学部卒業、モスクワ国立国際関係大修士課程修了。東京財団研究員、国際協力銀行モスクワ事務所上席駐在員を経て現職。