救急車「不適正利用」解決に“利用料”徴収はありか 「入院しない軽症者の搬送7700円」始めた地域も
同庁救急指導課の小林孝之課長補佐は、「GPSで救急車の位置情報が把握できるので、救急車が都内のどの場所にいて、走行している道路上のどの方向を向いているかもわかる」と話す。 取材に応じた小林課長補佐と韮澤久遠(ひさと) 救急指導係統括は救急救命士の資格を持ち、多いときで1日に18回も出動した経験を持つ。 ■消防署に属さない救急機動部隊 東京消防庁直轄の消防署81カ所に所属する救急車は、傷病者を病院に搬送した後、すぐに消毒作業をして消防署に戻り、次の要請に備える。それを補完する形で活躍しているのが、消防署に属さない救急機動部隊だ。
救急機動隊は、昼間は外国人観光客などでごった返すJR東京駅の周辺エリアや、世田谷、渋谷両区の比較的救急要請の多いエリアで待機している。午後10時以降から翌朝までは新宿歌舞伎町や六本木の待機所で備える。 2009年に512万件だった救急出動件数は、翌年に6.7%増加し546万件に。このときに出動件数が増えた全国の消防本部748に対して、その要因として考えられる理由を聞いた。 調査結果(複数回答)によると、「高齢の傷病者の増加」を理由に挙げた消防本部が605(80.9%)で、「熱中症傷病者の増加」が406(54.3%)、「緊急性が低いと思われる傷病者の増加」が287(38.4%)、「不適正利用者の増加」127(17.0%)と続いた。
回答の中で2割弱あった「不適正利用」にはどのような事例があるのか、東京消防庁に聞いた。 事例1:現場に到着するとパジャマなどの着替えが入った大きなバッグを両手に持って待っている人がいた。「入院する病院までお願いします」と、タクシー代わりに使おうとしていた。 事例2:要請を受け現場に到着したものの、誰もいない。要請した人に連絡しても電話に出ない。警察も出動する事態に。結局、傷病者は見つからず、救急車は消防署に戻った。