英国ルームメートと見た「SHOGUN 将軍」 英語にした途端にビュンっと戦国時代が身近に感じられる
「日本人って本当に美しい」。イギリスに住む私のルームメートがこのドラマを見て放った一言だ。米エミー賞で作品賞、主演男優賞、その他の受賞を含め過去最多の18の賞を獲得したドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」。受賞した直後は、私のSNSのタイムラインに主演・真田広之の流ちょうかつ、日本人ならではの謙虚さがうかがえる英語のスピーチ映像が流れてきた。 しかし、エミー賞を受賞したとて外国人はこのドラマを認識しているのだろうかと思い、SNS上でイギリス現地の友達に「Do you know this drama? (このドラマを知っていますか?)」というアンケートを行った。結果、70%以上の人が知っており、なんなら日本人の友達の方が「何それ?」という感じ。真田広之が受賞スピーチで述べた「この作品は東洋と西洋が出会う夢のプロジェクト」という言葉が、〝願望〟ではなく〝現実〟で実現されているんだと私は強く実感した。
難しい日本語セリフも〝心配ご無用〟のワケ
ドラマ「SHOGUN 将軍」は、徳川家康をモデルとした架空の武将・吉井虎永が、日本に漂着したイギリス人航海士と関わることで、戦乱の世をくぐり抜け天下統一を目指す様を描いた作品。この作品は、アメリカのドラマであるにもかかわらず大半が日本語のセリフだ。そして、実際に私が鑑賞して、これは英語圏の人たちに理解できるのか……?と最初は思った。戦国時代ならではの言葉づかい、そして日本ならではの奥ゆかしい語彙力(悪くいうと回りくどい言い方ともいう……)。 日本語ネーティブの私でも、〝それがし〟や〝愚身〟など多すぎる一人称に惑わされたりなど、恥ずかしながら理解に時間がかかるセリフがあるのだ。「これはみんな分かっているのか?」とルームメートの様子をチラッとうかがうと、心配などご無用といった様子で夢中で観賞していた。私がつまずいた一人称問題も英語では全て「I(私)」に訳される。英語にした途端にビュンっと戦国時代の言葉が身近に感じるようになる。日本人でも難しくて敬遠しがちな時代劇だが、英語で楽しむことでこんな化学反応が起こるんだと今まで知らなかった発見だった。