PTAを解散したら…「楽しい」と笑って活動する親が増えた 保護者にのしかかる負担を減らし、義務・強制をやめる方法とは
「PTAを解散した」。そんな学校があると知って驚いた。改革さえ難しいと言われているのに。PTA活動はもともと、専業主婦が担うことを前提としていた。共働き家庭が増加した現在では、時代遅れ感が否めない。なり手不足も深刻だ。 毎年春が近づくと新年度の役員決めが始まり、多くのしこりを残す。義務感だけで引き受けたり、半ば強制的に役を割り当てられたりする人も多い。やらされ感もつきまとい、「1年の我慢」と言い聞かせながら活動するのは非常につらい―。そんな現状を打破し、新しいPTAの在り方を求め、保護者が無理なく参加できる組織を目指し改革を進めた二つの小学校を訪ねると、“常識”が覆されるような運営がなされていた。(共同通信=小林磨由子) ▽LINEで済む用事なのに、わざわざ集まっていた まず訪ねたのは、PTAを解散した滋賀県の大津市立志賀小。古くから住む世帯と、京都方面に通う新しい世帯が混在する地域にあり、児童数は700人ちょっとだ。解散は2020年度だという。
元会長の谷祐治さん(49)が経緯を教えてくれた。かつては平日昼間の活動が多く、仕事を休まざるを得ない人もいたり、LINE(ライン)でのやりとりで済むような事務連絡のためにわざわざ集まったりしていたという。「違和感を抱いた。時代に合っていなかった」。谷さんたちが改革に着手した。 保護者にアンケートを取り、広報など当時の委員会をすべて廃止に。一方、図書部など児童と保護者の交流の場となるサークル活動は残した。過去のPTA役員たちには理解を求めた。「組織をアップデートしたい。地域とも連携したい」 ▽イメージが変化、男性が増えた PTAをなくす代わりに結成したのが、保護者会「はなぞの会」。地域にゆかりの言葉を冠した。会則で掲げたのは「運営は自主的な意思の下で行う」「誰もが参加しやすい会を目指す」。地域の文化祭にも参加し、地域密着を目指す。 現在の運営メンバーは立候補で集まった女性6人、男性5人。人数に規定はない。イメージが変わったことで男性が増えたという。