ブラウン博士も驚く速さ? エレクトロジェニック DMCデロリアンへ試乗 時速88マイルは余裕
最高出力は218ps 時速88マイルは余裕で出せる
インテリアは、ほぼ原型を留めたまま。ギアとドライブモードを選ぶダイヤルが追加され、新しいステレオデッキが載っている程度。写真にはないが、フラックス・キャパシタもシャレで用意されている。 駆動用モーターの最高出力は218psで、最大トルクは31.6kg-mと、PRV V6ユニットよりパワフル。駆動用バッテリーの容量は42kWhで、航続距離は約240kmとのこと。急速充電器を使えば、1時間で満充電になるそうだ。 車重は40kg増えたそうだが、0-100km/h加速は5.0秒と鋭い。最高速度は209km/hで、夢のタイムスリップに必要な時速88マイル(141km/h)は余裕で出せる。それ以外、シャシーやサスペンション、ステアリングに手は加えられていない。 電動パワートレインを司る独自のシステムは、同社のエレクトロモッド・モデルで共通なのだとか。「弊社の診断コンピュータをクルマへ接続すれば、同じ情報が表示され、同じOSが実行できるんです」。ドラモンドが説明する。 難しいことはさておき、デロリアンのシートへ座る。キーを捻りシステムの起動を待ち、ドライブを選択すれば、スルスルと進み出せる。アクセルレスポンスは、想像通りとても鋭い。 ドライブモードは、エコ、ノーマル、スポーツの3種類。エコ・モードはパワーが絞られ、PRV V6ユニットが載っていた、オリジナルに印象が近くなる。同時に、エネルギー消費は最小限に抑えられる。 ノーマル・モードが、2024年の日常にはぴったり。気持ち良く加速し、リアタイヤがむずがる余力もある。
仕上がりにブラウン博士も驚く?
スポーツ・モードは、その名の通り。デロリアンは見た目に適ったスポーツカーになり、勢いよく加速できる。一部の高性能バッテリーEVのように、息が詰まるような速度上昇ではないが、上半身は柔らかいシートへ押し付けられるほど。 1980年代にこのパワートレインが存在したら、オリジナルの開発を率いたジョン・デロリアン氏も喜んだことだろう。スピードメーターには時速85マイル(約136km/h)までしか表示はないが、簡単に振り切れる。エキサイティングなほどたくましい。 本来のデロリアンは、アメリカ大陸向けのグランドツアラーといえた。快適性が優先で、操縦性に優れるわけではなかった。ボディはワイド&ロー。着座姿勢は、殆ど横になっているような感じだ。 パワートレイン以外は手つかずで、緩やかなコーナーへ控え目に侵入しても、ボディロールの大きさへ驚く。少し気張ると、ズルズルとアンダーステアが待っている。 新しいタイヤとサスペンションを組めば、操縦性もモダナイズされるはず。とはいえ、市街地を穏やかに運転している限り、このソフトな状態も悪くないけれど。 パワートレインの洗練度は非常に高く、エレクトロジェニック社の技術力に感心してしまう。ドラモンドのような人物がいるおかげで、近年のグレートブリテン島はエレクトロモッドの中心地になっている。 技術は日進月歩。来年はどこまで進んでいるのか、予想はつかない。しかし、このデロリアンの仕上がりには、ブラウン博士、「ドク」も驚くのではないだろうか。 執筆:アレックス・ゴイ(Alex Goy)
エレクトロジェニック DMCデロリアン(英国仕様)のスペック
英国価格:-万ポンド 全長:4270mm 全幅:1950mm 全高:1170mm 最高速度:209km/h(予想) 0-100km/h加速:5.0秒(予想) 航続距離:241km(予想) 電費:-km/kWh CO2排出量:- 車両重量:1284kg パワートレイン:電気モーター 駆動用バッテリー:42.0kWh 急速充電能力:-kW 最高出力:218ps 最大トルク:31.6kg-m ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)
AUTOCAR UK(執筆) ジャック・ハリソン(撮影) 中嶋健治(翻訳)