円スワップ金利1カ月ぶり高水準、円安止まらず日銀「同時決定」読む
(ブルームバーグ): 外国為替市場で円安進行が止まらず、物価上昇を抑えるために日本銀行が追加利上げに動かざるを得ないとの観測から円スワップ金利が上昇している
金融政策を占う上で債券・為替市場関係者が注目する1年先1年物の円スワップ金利は2日、0.6%台と1カ月ぶりの高水準に上昇した。6月の日銀金融政策決定会合以降、7月の会合では国債買い入れ減額の詳細決定と追加利上げを同時に決定するのは難しいとの見方が広がり、一時は0.5%を下回る水準まで低下していた。
みずほ証券金融市場部の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは、1年先1年物の円スワップ金利の上昇について「海外勢の動きが中心」だと分析。円安の影響に加え、7月会合での国債買い入れ減額と利上げの同時決定の可能性がゼロではないことの表れだと見ている。
日銀の植田和男総裁は6月18日の参院財政金融委員会で、7月会合での政策金利引き上げは「十分あり得る」と発言。金利スワップ市場が示す7月利上げの織り込みが回復するきっかけとなり、債券市場でも金利が上昇(価格は下落)傾向にある。
7月会合での追加利上げ、「場合によっては十分あり得る」-日銀総裁
一方、依然として経済が堅調な米国との絶対的な金利差は縮まらないとの見方が根強く、円相場は対ドルで161円台後半と約38年ぶりの安値を連日で更新。市場でも、日銀が7月会合で追加利上げに動くとの観測が次第に高まってきている。
みずほ証の大森氏は、0.6%程度まで上がった1年先1年物円スワップ金利の動きは2026年には政策金利が0.50%になっていることを織り込んだものだと言う。「今回の利上げサイクルで2回の利上げという市場のコンセンサスに沿ったもの」で、当面は現状付近での推移を見込む。
ただし、海外金利の上昇や一段の円安進行により、1年先1年物円スワップ金利には「上昇圧力がかかりやすい」とも語った。
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Daisuke Sakai