「社会的地位のための結婚」規範が根強く残る背景 「そうであるべき」人生モデルからの解放を
■パートナーに出会っても出会わなくても 『東京ミドル期シングルの衝撃』で語られたシングル像は多様です。 結婚を望んでいるのに経済的に無理だと思う人、周囲を見ていて家族を作ることのわずらわしさを感じている人、なんとなく今に至る人、それらの人々も将来ずっとひとりでいることの不安は抱えています。 何歳になっても、ひとりで生き生きと暮らしていてもいい、パートナーに出会ってもよい、出会わなくてもよい、結婚という形態をとらなくても信頼して面倒なこともいっしょにできる人が、異性でも同性でもいていい、そして結婚していないということはひとつの個性であって、それだけで社会的に何かを示すものではない、ということが地域や社会で理解され、多様性が当たり前になることが、将来の姿として見いだせるようになる日は来るでしょうか。
それは1人ひとりの考え方の変化の積み重ねはもちろん、さまざまな制度の変更、多様なロールモデルの登場などを必要としているのです。
松本 奈何 :都市研究者、明治大学専門職大学院ガバナンス研究科助教