何度も泣かされた“あと2cm” 走高跳・髙橋渚を本気にさせたパリ落選「絶対に世界に出たい」【東京世界陸上】
6月に行われた日本選手権。五輪出場には「1m90を跳び、優勝」が条件だった。1m81の時点で髙橋の”独り舞台”となり日本選手権3連覇は確定したが、結果は1m87と目標には届かなかった。今まで泣き顔を見せたことがなかった髙橋の目には、涙が溜まっていた。髙橋は当時を振り返った。 「本当にどうしてもあの場で1m90を飛びたかったので、それに関しては本当に悔しい。”もう跳べる!”って思って行ったのに跳べなかったので、あの時は悔しさ全開でした」 ■「私が世界に出る」東京世界陸上に向け再始動 「絶対に私が世界に出たい!」悔し涙を流した日本選手権で宣言した髙橋。パリ五輪が閉幕してから約2か月。髙橋の姿は醍醐奈緒美コーチ(元三段跳びの選手、夫は男子走高跳元日本記録保持者・醍醐直幸氏)と共に、神奈川県・平塚競技場にあった。常に二人三脚で歩む醍醐コーチにこれからのトレーニングについて聞くと、「11月から今より体の強度を少しあげて、2週目からがっつり練習に入る感じです」と、意外な答えが返って来た。 取材の日は、10月。実はこの日はまだオフの期間だった。なぜ、本格的な冬季トレーニングの前に体を動かし始めているのか。コーチとの会話の中に、髙橋の”本気度”が垣間見えた。 醍醐コーチ:休めた? 髙橋:はい。めっちゃ休めたのに体はダメですね。(完全に)復活していない感じがして。 醍醐コーチ:もっと休んでいいのになって思うけど。やらなきゃって気持ちが、目標があるから。前はちょっと休みなって言ったらそこまで休むかってくらい休んで戻ってきたけど(笑) 髙橋:練習をしたいし、来年に向けて(体を動かしていないと)ちょっと怖くなっちゃうから練習していた方がいい。 醍醐コーチ:安心するってことでしょ?全然大丈夫なのにって思うけど。本人の求める水準が今までと比べたら高くなったんですよね(笑) 髙橋を”本気モード”にさせたのは、やはり目標だったパリ五輪の落選が大きかった。 「パリに出られなかった分、そこ(世界陸上)に挑戦したいなっていう気持ちがあります」