原発周辺への企業進出促す「GX2040ビジョン」…電気代や税軽減、自治体には脱炭素電源の開発促す
経済産業省は、原子力や再生可能エネルギーなど脱炭素電源の周辺に進出する企業や工場に、電気料金や税負担の軽減措置を導入する方針だ。企業進出を後押しして雇用・税収増による地域経済の活性化を図り、投資を呼び込みたい自治体での脱炭素電源の開発を促す。地元の同意による原子力発電所の再稼働にもつなげたい考えだ。 【図】一目でわかる…核燃料サイクルの仕組み
政府が初めて策定する脱炭素化と産業政策の戦略「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」に盛り込む。26日にGX実行会議(議長・石破首相)を開いて公表する方針だ。
支援の対象は、原発や洋上風力など脱炭素電源を使った人工知能(AI)・ロボット技術の活用のほか、大規模な半導体工場といった雇用や中小企業への波及効果が高い進出企業とする方向。脱炭素につながる電気を使う契約などを電力会社と結ぶことを求める。
今後、負担軽減策の具体化を進める方針で、財源として企業の脱炭素投資を促す「GX経済移行債」の活用も検討する。
政府が脱炭素電源の整備を急ぐのは、産業競争力を左右するからだ。世界的なIT大手や半導体メーカーなどは脱炭素電源の確保を進出の条件としている。電源周辺の産業集積を図ることで、送配電網の整備コストも削減できる。
負担軽減策により、自治体は脱炭素電源を売りに企業誘致を進め、雇用の拡大や中小企業からの部品調達など広範囲に経済効果を得ることが期待される。
経産省は17日に公表した「エネルギー基本計画」の原案で、原子力と再生エネを脱炭素電源として「最大限活用する」と明記した。基本計画とGXビジョンを柱に、脱炭素電源の確保と産業集積を加速させる。