大韓・アシアナ統合、欧州が条件付き承認 重複路線を移管、ティーウェイへ
EC(欧州委員会)は現地時間2月13日、大韓航空(KAL/KE)が進めているアシアナ航空(AAR/OZ)の買収を条件付きで承認すると発表した。ECはアシアナ航空の貨物部門の分離売却と、両社が重複する欧州の旅客4路線へ参入する競合他社への支援の2点を求めており、大韓航空はこれらへの措置を順次進めていく。企業統合は競争法上の審査を14カ国・地域で受けなければならず、欧州を含む13カ国・地域で完了。残りは米国のみとなった。 【写真】大韓航空が運航するジャンボ最終旅客機 大韓航空によると、アシアナの貨物部門分離は入札と買収社選定後、ECの審査を経て進めるという。重複する旅客4路線はソウル(仁川)発着のパリ、ローマ、バルセロナ、フランクフルトの各路線で、ECは韓国LCCのティーウェイ航空(TWB/TW)を新規参入航空会社に指名。大韓航空はティーウェイに対し、今年下期から順次参入できるよう支援し、ティーウェイへ重複4路線を移管するまで合併を完了させないという。 ECと大韓航空は2021年1月に事前協議を開始。2年後の2023年1月13日に正式申告書を提出し、2月17日から調査を始めたが、5月17日に大韓航空に対し異議告知書(Statement of Objections)を送付。今回条件付きとなった2点について「合併により利用客に代替手段がなくなる可能性のほか、価格上昇や質の低下につながる可能性もある」と懸念を示していた。 両社の統合について、2021年2月にトルコ、5月に台湾とタイ、フィリピン(タイとフィリピンは対象外)、9月にマレーシア、11月にベトナム、2022年2月に韓国とシンガポール、9月に豪州、12月に中国、2023年3月に英国で審査が完了・終結している。このうち、英国は条件付きで、英社の参入を条件としている。 今年1月31日には、日本の公正取引委員会から「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領し、日本でも審査が終了。欧州でも事実上完了したことで残りは米国のみとなり、米国との協議を継続する。
Yusuke KOHASE