野球でパワー不足…悩む小学生が鈍感な“感覚”とは? 黄金期に与えたい「日常の刺激」
投打のスピードやパワーに悩む子たちへ…ゴールデンエイジに磨きたい「足裏の感覚」
学童野球では体格的なハンディを感じたり、投打でのスピードやパワーに悩む子どもたちがいる。そんな時こそ、自身の「引き出し」が多ければ、立ちはだかる壁を乗り越えていく確率が上がっていくものではないだろうか。多くの「引き出し」を持つためにも基礎体力や運動能力を高めておきたいが、身体的な特徴として「足裏の感覚が鈍感になっている」子どもが近年増えているという。野球などスポーツに必要な基礎運動能力向上プログラムを提供するパーソナルトレーニング施設「CoreBoxStudio」(神奈川県横浜市)のメイントレーナー・笹野翔大さんに対策を聞いた。 【実際の動画】足裏から頭上まで“垂直”に 投球・打撃向上につながるオーバーヘッドスクワット 「改善策として、足裏に刺激を与える。たとえば、何気ない日常で竹踏みをする。足裏で小さなボールを転がしてみるのもいいでしょう」 刺激を与え続けることで柔軟性や敏感な感覚が養われる。結果的に、野球でのバッティングやピッチングにおいて安定感が生まれ、足裏からの地面反力を得て下半身から上半身にパワーを伝える動きが向上する。つまりは、野球のパフォーマンスアップがグッと高まるのだという。 また、子どもの運動能力が飛躍的に発達すると言われるゴールデンエイジ(9歳~12歳)の時期に、「いろんな動き」を試しておくことも重要だと笹野さんは話す。 「今は、公園でも遊具がどんどんとなくなっている環境の中、スマートフォンやゲームの普及も影響して、子どもたちの運動時間が奪われている傾向にあります。『いろんな動き』をしなければいけない時期に、その時間が限られているのが一番の問題だと思います」
運動能力のコンプレックス解消が、野球のパフォーマンスアップにもつながる
野球における投げる、打つという動きでも、重要になってくるのが脚力だ。たとえば「走る」ことに関しても、多様な動きが乏しいために「体をどう使えばいいのかわからない」、あるいは「走る姿のイメージすら持てない」子どもが増えているのが現実だろう。 その改善策として、体の動きや力加減を調整する運動神経を鍛え、脳と神経の回路を作ることで身体能力を向上させるコーディネーショントレーニングは、子どもの成長を助長して運動能力を高める大きな要素になるはずだ。それは、中学生でも決して遅くはない。「CoreBoxStudio」の代表を務める宮崎彰伸さんが、経験談を語る。 「私の息子は、中学2年生まで体育の成績は決して良くありませんでした。そんな中で、2年生の冬からトレーニングを積み、わずか半年で一気に運動能力が上がりました。3年生になるとリレーの選手に選ばれ、体育の成績も小項目を含めてオール5に。高校3年生になった現在、息子は30メートル走で3.9秒のタイムを記録するまでになり、高校野球を続けてくれました」 スポーツに興じる以前に、「運動能力に対するコンプレックスを持っている子どもが多い」とは宮崎さん。たとえば、周囲の子どもと比べて身体的に劣っているんじゃないか……。そんな思いを解消してあげるためにも、それぞれに適したトレーニング、時には遊びの中から得られる「いろんな動き」をして、子どもの頃から基礎体力や運動能力を高めることは重要だろう。その積み重ねが、野球でも走攻守における「動き」の質を高めてパフォーマンスアップにつながっていくはずだ。
佐々木亨 / Toru Sasaki