フランスの高級車ブランド「ファセル・ヴェガ」を知っていますか? スターリング・モスがアンバサダーを務めるも10年でなくなった理由とは【クルマ昔噺】
ファセルのオーナーには有名人が多かった
ファセルのオーナーには有名人が多い。レーシングドライバーのスターリング・モスは同社のアンバサダーとして、ファセリアのプレスローンチに出席しているほか、自身もHK500のオーナーだった。このほか、俳優のトニー・カーチスや映画『ファントマ』でおなじみのジャン・マレー、コメディアンのダニー・ケイ、さらにはビートルズのリンゴ・スターもオーナーとして名を連ねていた。1955年のル・マン24時間の大事故のきっかけとなってしまったオースティンのドライバー、ランス・マクリンは、事故後にファセルのエクスポート・ディビジョンで働いていた。 じつは我が家にこの信用失墜の元になったファセリアがある。手元に来た時点でエンジンはすでに1気筒が死んでいた。美しい4シータークーペのボディは、わずか46台しか作られなかった貴重なもの。デビュー当初に輸入元だった山田輪盛館が輸入した1台である。驚くことに美しいウッド(に見える)のインパネは、じつはフェイクで、しかもハンドペイントされたものだという。つまり鉄板に絵を描いたものだ。 エンジンはイギリスに送られて完全復活したはずだった。しかし、日本に帰って預けておいたショップが倒産し、エンジンはどこへやら。以来30数年、我が家のファセルはエンジンレスで眠ったままである。 余談ながらファセルが作ったクルマの総数は3033台であった。
中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
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