タマゴ型デバイスでエネルギーの未来を体感!?大阪・関西万博のパビリオン「電力館 可能性のタマゴたち」記者発表レポ
2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)。会場には多くの民間パビリオンが出展しており、今回、電気事業連合会が出展するパビリオン「電力館 可能性のタマゴたち」の記者発表が行われた。子ども向けの体験型の展示を中心に、パビリオンの概要、構成などの発表のほか、パビリオンの建設状況を知ることができる現地取材会も実施された。 【写真】大阪メトロ夢洲駅直結の会場東側エントランスから入ってすぐ、万博のシンボル「大屋根」外側に立つ 二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の先の未来社会を、電力業界ならではの視点から描く展示にワクワクが止まらない! ■天候や時間帯で見え方が変化するタマゴ型のパビリオン 記者発表に先駆けて行われた現地取材会。電力館は、万博のシンボル的存在「大屋根(リング)」のすぐ外側の会場北東エリアに建てられている。建物は2階建てで、延べ床面積は2854.4平方メートル。 外観はツルッとした曲面ではなく、さまざまな形の平面が組み合わさってできているボロノイ構造のタマゴ型。さらに骨組みを銀色の不燃性の厚さ1ミリほどのシルバーの膜材で覆うことで、膜の色を天候や時間帯などによって多様に見え方が変わるだけでなく、未来に向けた多くの可能性を表現し、自然や周囲の環境との調和も目指しているとのこと。キランと光を反射する姿に思わず “未来感”を感じる。 周辺の舗装(約1000平方メートル)には、北陸電力が開発した太陽光パネルの廃棄ガラスを骨材として使用したブロックを採用する予定。屋外にはステージも併設し、万博会場全体で行う「パビリオンデー」「テーマウィーク」といったイベントとの連動や、他企業や大学とのコラボレーションイベントの開催を予定している。 工事進捗率は8月末時点で83%となっていて、完成は2025年1月を予定しているそうだ。体験展示のメインとなる2階を見学したが、SF映画や漫画に出てくる宇宙基地のような武骨な構造体は複雑怪奇で、「いったいどんなパビリオンになるんだ?」と、大いに期待を膨らませてくれた。 ■光る「タマゴ型デバイス」が特別な体験を提供してくれる その後行われた記者発表では、展示構成や体験のデモンストレーションなどが行われた。パビリオンの内部は「プレショー」「メインショー」「ポストショー」の3部で構成され、メインショーは未来を切り開くエネルギーの可能性を体験する「可能性エリア」と、それによって切り開かれるいのちの輝きを体験する「輝きエリア」の2つのエリアになるという。 来館者はパビリオンに入ると、何色にも光る「タマゴ型デバイス」から好きなタマゴをひとつ選び、首から掛けて館内を巡る。タマゴと映像・空間の連動による新たな発見や好奇心を高める体験展示、大空間での光と音による没入型展示を通じ、未来におけるいろいろなエネルギーの可能性に出合うことができる。 さまざまなエネルギーの可能性を探す来館者の手伝いをしてくれる「タマゴ型デバイス」は、展示の内容や来館者の体験に連動して光ったり、震えたりすることで、来館者に特別な体験を提供してくれることだろう。また、廃材の利活用とプラスチック削減に独自技術で取り組む企業の協力で、廃材を配合した電力館オリジナルの外装素材を制作。外装素材の廃材配合率は、上部パーツが卵の殻5%、下部パーツがホタテの貝殻15%になっているそうだ。 ■数多くの“可能性のタマゴ”を通して、エネルギーの可能性を体感! 身近でわかりやすいものから、これまでエネルギーとして使うことが考えられなかった意外なものまで、未来におけるエネルギーの可能性について、楽しく学べる「電力館 可能性のタマゴたち」。 ここからは、タマゴ型デバイスと映像・空間の連動による新たな発見や好奇心を高める体験展示、大空間での光と音による没入型展示の一部を紹介する。 まずは「プレショー~これから始まる体験の紹介~」。カーボンニュートラルの実現に向けて、二酸化炭素を増やすことなくエネルギーを利用する未来を目指し、たくさんの「エネルギーの可能性」を探すという、これから始まる体験を、映像とタマゴ型デバイスの連動で紹介する。パビリオンの世界観を感じるとともに、期待感が高まること間違いなし! メインショーの「可能性エリア」では、未来を切り開く可能性を持つエネルギーについて展示。エネルギーの特徴やおもしろさにフォーカスし、ゲーム要素も取り入れた展示となる予定で、タマゴ型デバイスとの連動により、来館者はたくさんのエネルギーの可能性を探し、新たな発見や驚きを体感できるという。 卓上に投影された原子核に見立てた光る球をタマゴ型デバイスにくっつける(融合させる)体験ができる「核融合」。反発し合う2つの原子核をうまく融合できたときに膨大なエネルギーが生まれる“核融合の原理”を体感できる。手の動きと卓上の映像は、モーションキャプチャーセンサーによって連動する。 目の前に次々と映る家電や車など電気で動くものに対して、離れたところから無線で電気を発射して動かすシューティング型の体験展示「無線給電」。ゲームを通じて、さまざまな物へ無線で給電がなされる便利な未来を体感しよう。 このほか、潮流発電、波力発電、マイクロ水力発電、風力発電、ペロブスカイト、太陽光発電、宇宙太陽光発電、マグマ発電、振動力発電、直流送電、ヒートポンプ、水素、ミドリムシ、ソルガム、コンクリート電池など、約30の展示を予定する。 もう1つのメインショーとなる「輝きエリア」では、大空間の中に立体的に配置した無数のLEDによる光や音と、来館者が持つタマゴ型デバイスが連動する没入型展示が並ぶ。エネルギーの可能性によって切り開かれるいのちの輝きを、子どもたちも直感的に体感できる。 百科事典をコンセプトとした空間での実物・パネル展示を通じ、メインショーの体験を振り返る「ポストショー ~体験の振り返り~」。実は身近なところにもたくさんのエネルギーの可能性があることを実感できる。 最後に「電力館 可能性のタマゴたち」のスタッフのユニフォームデザインも発表された。パビリオンの外観との親和性を重視し、グレーをメインとしたモノトーンカラーで統一しつつ、パビリオンの特徴のいろいろな形の平面を組み合わせた「ボロノイ構造」をデザインに採用している。 オーバーシャツは生地の裁断位置によって1枚ずつ模様が異なることも特徴の1つ。ボロノイ模様という統一性は持たせながらも、さまざまな年代・性別・体形のスタッフそれぞれが異なる表情のユニフォームを着用し、パビリオンのテーマであるさまざまな「可能性」を表現しているという。 館長を務める岡田康伸さんは、「『電力館』に来てもらいエネルギーの可能性で未来が切り開かれていくことを理解してほしい。子どもたちには気づきとワクワクした気持ちの両方を持ち帰ってもらいたい」と話す。エネルギーの多様な可能性を楽しく体感できるほか、当たり前と捉えられているエネルギーをしっかり見つめ直す機会にもなるパビリオン「電力館 可能性のタマゴたち」。2025年4月13日(日)の大阪・関西万博のスタートをお楽しみに! 取材・文=日高ケータ 撮影=高村直希