なぜ日本は南アに敗れ4強進出を果たせなかったのか?
南アフリカ代表のラシー・エラスムス・ヘッドコーチは、「ハーフタイムは本当に緊張していた。しかし、私たちは長く一緒にいるので(信頼関係をもとに)そこからの脱出方法を知っている。仲間同士で話し合っていたのがよかった」と振り返った。 フランカーのシヤ・コリシ主将ら、チームリーダーは、それまで一進一退だったスクラム、強い塊を作っていたラインアウトからのモールで「安定している」との認識を共有。一度もらったボールを簡単に手放さないよう戦い方を修正した。 キックの選択にもマイナーチェンジを施す。ばねのある松島の周辺にはあまり蹴らなくなり、もし松島のところへ蹴るとしたら同選手が広い区画に立っている場合に限り、必ず長身のフォワード選手に弾道を追わせた。その仮説に、スタンドオフのハンドレ・ポラードは「(前半に蹴った場所では、捕球する相手が他の日本代表選手に)かなりブロックされていた。オープン側に蹴ることにしました」と答えた。 ベンチも勝負手を打つ。リザーブを編成する段階で一般的な隊列よりもフォワードを1人多く並べていて、エラスムス・ヘッドコーチは、そのメンバーを前半終了間際から次々と投入。運動量に長ける日本代表に対し強みの肉弾戦での圧力を最後までぶつけるためだ。 「誰もが速く動くのが日本代表。彼らのプレーにマッチさせようと思った。事前に(先発の)フォワードは非常にきつくなるとわかっていたので、フレッシュレッグ(新しい交代選手)を入れるようにした」 日本代表陣営が故障者への対応のため思うようなメンバーチェンジができないなか、エラスムス・ヘッドコーチは、こう満足する。 「彼ら(控えのフォワード)は我々が求めていたことをやってくれた。防御ではフェラーリ(松島、福岡堅樹といった日本代表の快足ウイング)の走るスペースを埋めてくれた。またモール、スクラム、ブレイクダウン(接点)をよくしてもらいたいと思っていたところ、それに応えてくれた」