なぜ日本は南アに敗れ4強進出を果たせなかったのか?
後半26分。自陣10メートルエリア右のラインアウトから組み始めたモールを、敵陣22メートルエリアまでゴリゴリと押し進めた。最後は塊から抜け出したフッカーのマルコム・マークスが、スクラムハーフのファフ・デクラークによるフィニッシュをお膳立て。直後のゴール成功もあり、日本代表は3-21と、勝負をほぼ決められてしまった。 マークスが「努力が実を結んだ。前に進む気持ちがトライに繋がった」と振り返る場面である。 日本の4強進出はならなかった。そこにどんな壁があったのか。 稲垣は、次回のW杯をも見据えてこう言葉を絞った。 「勝てば次に進めるファイナルラグビーの場で何が大事になるか、突き詰めていく必要がある。セットピース(スクラム、ラインアウト、モール)はもっと向上させる必要がある。きょうは南アフリカ代表さんがそこで強みを前面に出してスコアしましたから。相手のラインアウトは優秀でスキルも高さもありましたし、その後のモールのディテールも非常にクオリティが高かったですね」 稲垣がプレー面の課題を挙げたのに対し、田村はW杯で5試合以上の真剣勝負をおこなう難しさについて言及。今大会限りでの代表引退も匂わせながら、ここ1週間の状態をこう振り返った。 「5週間プレッシャーのかかる中でラグビーをする難しさはありました。特にベスト8に入ってからの今週は、きつかったですね。もちろん手を抜くつもりも全くないですし、国民の皆さんの期待に応えたい気持ちはありました。でも、5試合連続で試合に出ている選手も(多く)いたので、100パーセントの準備をしたいのと、身体とメンタルのコンディションを(整えたいという思いのバランスを取る)…という難しさはありました。今回(の日本代表)が史上最強で最高のチームであるのは間違いないです。もちろんそれまで苦しい時代からやってきた先輩方がいて、2015年はあれだけの結果を残しながらベスト8には入れなかった…としっかり段階を踏んでやってきたのもある。僕は8年間代表に関わらせていただいて、僕が入った時よりもいい状態になったというか…。予選突破してからの準備の仕方は、次の世代に託します。バトン渡しは完了しました」