娘が流したSnow Manの曲に私が「日本の未来」感じたワケ 私たちが必要としている「弱者」の再定義とは?
「弱者」とは決して弱い人たちではない。やむをえない理由で、弱い立場に置かれた人たちだ。それなのに、弱者が、さらなる弱者を叩く。この様子をTRAIN-TRAINの作詞家である真島昌利さんは、どんな気持ちで見ているのだろう。 ■悲観する私、肯定的未来を思う娘 「世界価値観調査」によると、「国民みなが安心して暮らせるよう国は責任を持つべき」という質問に8割近い回答者が賛成している。私たちは貧しくなった。「誰か」ではなく「みんな」の不安をなくすための政策、「弱者」の<再定義>がいま必要なのだ。
この歌は悲しい予言の曲なんだよ――そう言って、私は、娘にTRAIN-TRAINを聞かせた。あまり実感がわかない様子だった。だが、聞き終わると、彼女はおもむろにYouTubeをひらき、Snow Manの曲を流し始めた。 心が荒んでしまって 誰も信じられなくなって 強く当たってしまっても 待っててくれたんだ もしこの先君が 困る時があったら 今度は僕が君のこと 支えてあげるから 出所:「ベストフレンド」(作詞:SHOW)
もしかするとこの歌が日本の未来になるかもしれないね、と娘はつぶやいた。私の頭には、支え合い、頼り合う人びとの姿が浮かんだ。心が温かくなった。 否定的な現状。悲観する私。いまを生き、肯定的未来を思う娘。どちらが正しいのかは誰にもわからない。でも、そんな<やさしい社会>を想像するのも悪くない。今日は、家族と語り合ってみよう。Snow Manを聴きながら。
井手 英策 :慶應義塾大学経済学部教授