「クラブの価値や名誉よりも会長と一選手の妄想を優先」なぜマドリーはバロンドール授賞式をボイコットしたのか。スペイン人記者が糾弾「勝つことだけを考えている」【現地発コラム】
気の毒だったのがロドリだ
ペレス会長が、今年からフランスフットボールとバロンドールの共同主催者になるUEFAを挑発するためだけに、このような暴挙に出たとは考えにくい。セーヌ川がパリ市内を流れるという事実を利用して、マドリーが主導する欧州スーパーカップ構想を巡って対立する会長のアレクサンデル・チェフェリンとその取り巻き連中に恥をかかせようとでも思ったのだろうか。 考えれば考えるほど、よく分からなくなってくる。そして最終的には、今回のボイコットもまた政治がスポーツに介入した典型例という結論に至る。マドリーは選手たちや監督よりも自分たちの利益を優先させた。もっとキツい言い方をすれば、クラブの価値や名誉よりも会長と一選手の妄想を優先させた。ヴィニシウスの肥大化したエゴを手なずけるどころか、一泡吹かせる好機と捉えた。 アンチェロッティも、他のノミネート者たちも、このような扱いを受けるに値しない。さらに気の毒だったのが、ロドリだ。マドリード生まれのスペイン人である彼は、喧噪の中、栄えある賞を手にすることを余儀なくされた。 ヴィニシウスにとっても、これから嘲笑の的になるネタが増えたことは何のプラスにもならない。幸いなことに、ロドリは自分がバロンドールに値する選手であることを知っている。そしてそれは他の誰かに拍手を送るつもりで授賞式に出席することを決めた時から、確信していたことである。 文●ナディア・トロンチョーニ(エル・パイス紙) 翻訳●下村正幸 ※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
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