超絶ベストハンドリングカー! 〈ポルシェ〉911 カレラT
千葉県木更津市にある〈ポルシェ〉のドライビング体験施設“ポルシェ エクスペリエンスセンター東京”にはわりと頻繁に通っていて、プロの手で完璧にメンテされた最新のモデルを、インストラクターの同乗でガシガシ走らすことが可能だ。コースも多彩だし、ハンドリングからドリフトまで味わえて、たっぷり90分のプログラムがベーシック。小汗をかくくらいの体験はまさに「ドライビングってスポーツだったんだ!」ということを、存分に体感できるからオススメだ。そこに最近加わったのがカレラTのPDKモデル。「え? MTが標準のカレラTをオートマのPDKで……!?」なんて訝しがることなかれ。コレがもう、一度走ればおかわり必至の超絶ベストハンドリングカーなんだから。
最新モデルは992型にまで進化しているカレラ。言うまでもなく、同社のシグニチャーモデルでもある。代を重ねるごとにどんどん高性能化していくのが定説だけど、このカレラTは原点に立ち返りドライビングプレジャーを追求したモデルとなっていて、先代の991型にも設定されていたモノだ。
軽量化と低車高化を図ってパフォーマンスに振っているのだが、そのために後部座席を取り払って(!)いるあたりは潔さすら感じてしまう。車高は-10㎜、これの効果はハイスピード域に入れば“体感”となって恩恵を感じることができる。さらに“PASMスポーツサスペンション”も標準装備されているからもう、ワカッテマスネ、な大トロ具合なのは想像に易い。 しかし、なにかと比較されがちなカレラGTSに比べてカレラTは非力だし(カレラGTS 480PS/カレラT 385PS、これは素のカレラと同じ出力)、正直「そこに旨味はあるの?」と思っていた。の、だ、が! いざコースに乗り出せば“軽さは正義”をまざまざと見せつけられた。アクセル開度も深めなので、普段なら到底使い切ることのできないレベルのスペックを使っている感も楽しいし、軽さに対してパワーの出方が絶妙なことに加えて、10㎜低い車高+スポーツサスペンションで、路面に吸い付くようなコーナリングも体感できる。なんといってもとにかくハンドリングが楽しいのだ。 ターンインではリアエンジン・リアドライブの“後輪で走る”をかつてないほど全身に感じながら、エイペックスでは前20インチ、後21インチのグリップを楽しみながら、出口では軽快に押し出される3ℓ水平対向6気筒エンジンの“吹け”を味わいながら。いやはや、こんなに純粋に“楽しい”と思えるカレラってあったかな?