【MLB】 ジャイアンツがクローシェ、タッカーの獲得を断念した理由 有望株エルドリッジの放出拒む
球団レジェンドのバスター・ポージーを編成トップに迎え、ジャイアンツは再出発を図っている。しかし、FAの遊撃手ウィリー・アダメスを大型契約で迎えた以外、効果的な補強ができていない。「ジ・アスレチック」のアンドリュー・バガーリー記者によれば、ジャイアンツは先発投手ギャレット・クローシェ、外野手カイル・タッカーのトレード獲得を目指していたものの、どちらのトレードでも有望株ブライス・エルドリッジを求められ、獲得に至れなかったという。 【特集】2024年オフシーズンの移籍情報まとめ
ジャイアンツはクローシェ、タッカー獲得のために「正当なオファー」を提示したというが、どちらの交渉においてもエルドリッジを「必須条件」として求められたという。ジャイアンツはエルドリッジの放出をためらい、結局今オフトレード市場の投打の目玉を取り逃すことになった。 20歳のエルドリッジは「MLBパイプライン」のプロスペクトランキングで球団1位、全体35位にランクインするトッププロスペクト。2023年ドラフト1巡目(全体16位)でジャイアンツに入団したエルドリッジは、当初二刀流として期待されていたが、プロ入り後は打者(一塁手)に専念した。 そして、フルシーズンデビューとなった昨季はAから一気にAAAまで駆け上がる大ブレイク。マイナー4階級で合わせて116試合に出場し、23本塁打、打率.292、出塁率.374、OPS.890をマークした。シーズン終了後は有望株の見本市アリゾナ・フォール・リーグにも参加し、歳上の選手が大半を占める中、OPS.860の猛打を振るった。 ジャイアンツはエルドリッジの才覚を惜しんだ。しかし、クローシェを獲得したレッドソックスはプロスペクトランキング全体25位の捕手カイル・ティール、54位のブレイデン・モンゴメリーを手放した。また、タッカーを獲得したカブスも、オールスター選出経験もあって複数年の契約を残す三塁手イサーク・パレイデス、全体73位有望株のキャム・スミスを放出している。ジャイアンツがこの両選手を競り落とすためには、エルドリッジの放出は必要不可欠だっただろう。 エルドリッジを残したジャイアンツは、早ければ今季途中にもエルドリッジの昇格に期待しているかもしれない。エルドリッジは弱冠20歳ながら、パワーを示すデータは既にメジャーリーガー顔負けだ。また、ジャイアンツの一塁手は今季限りでFAとなるラモンテ・ウェイドJr.で、世代交代のタイミングは目前に迫っている。 広大なオラクル・パークを本拠地とし、バリー・ボンズ以来20年以上シーズン30本塁打を放った選手が現れていないジャイアンツにとって、エルドリッジは手放すには余りに惜しい逸材だった。エルドリッジはジャイアンツにとって念願のシーズン30本塁打以上を期待できる大器だ。しかし、エルドリッジが期待通りの活躍をしたとしても、今のジャイアンツには多くの補強ポイントが残されている。