ソロキャンプは怖くない、「親切にしすぎない」と「直感」が大切、ベテランが極意を伝授
何かがおかしいと感じたら
単独で冒険に出るには、自分が心地よいと感じる領域の外へ踏み出さなければならない。それこそがソロキャンプをする意味でもある。ただし、それはあくまでも自分自身のためであり、他人に何かを証明するためではないと、ベテランキャンパーは言う。 「直感を信じることです。何かがおかしいとか危険だと感じたら、すぐに荷物をまとめて立ち去るべきです」とゲイ氏は言う。 「他人がどう思うかなど関係ありません。ネコが毛を逆立てるのと同じように、直感は私たちに自然に備わった防御システムなのです。自分の感覚の声を大事にしてください」 若い女性などを対象に護身術教室を開く「ガールズ・ファイト・バック」の最高経営責任者(CEO)、ニコル・スネル氏は、虐待を受けていた子ども時代、野外を安全な避難場所としていた。 以来、野外で独りで過ごすことを否定したり制限したりするような風潮に対し、意識的に自分と他人の境界線を引く力を身に着け、自分自身の判断で行動できるようになれば大丈夫だと訴えてきた。 女性は野外活動などで、自分の感情や心地よさ、安全を犠牲にしてまで、見知らぬ人に親切に接しなければならないと考えがちだと、スネル氏は指摘する。 だが、人は誰しも自他の境界線を定める権利がある。たとえ見知らぬ人と感じよく接したとしても、自分が独りで来たことや、どこにテントを設置したかなどを決して教えてはならないと氏は言う。 「自然の中にいることは、通りを歩くことより危ないわけではありません。危険だと感じるのはひとりぼっちで無力だと思うからですが、それは間違いです」とスネル氏は言う。「自分と他人の境界線を引くことで、攻撃的な人から危険な目にあう事態を避けられる可能性が高くなるのです」 スネル氏もゲイ氏と同様に、直感を信じるべきだと強調する。スネル氏自身もお気に入りのトレイルコースに出かけたものの、嫌な感覚を覚えため、2日後に出直したという経験がある。それこそが「自分の判断で行動する」ことだと氏は言う。 「『自分の判断で行動しよう』は『単独で行動するな』とは違います。『ハイキングも旅行も独りで出かけよう、自分の人生を生きよう』です。それでも直感が何かを訴えてきたら、それに耳を傾けるべきです」
文=Avery Schuyler Nunn/訳=三好由美子