大の里は霧島（手前）を寄り切りで破る（撮影・小沢裕）

＜大相撲秋場所＞◇10日目◇17日◇東京・両国国技館 　一人横綱の照ノ富士（32＝伊勢ケ浜）が休場する中、出場する力士の中で番付最上位で在位4場所目の大関琴桜（26＝佐渡ケ嶽）は、豪ノ山（26＝武隈）と対戦。一度は差し手を嫌われ、ハズ押しで土俵際まで攻め込まれたが、瞬時に入った右の下手が命綱となり、反撃の出足を効かせ寄り切った。連敗は阻止し7勝目を挙げ、何とか勝ち越しに王手をかけた。 【写真】霧島（左）を寄りきりで破る大の里 　一方、白星1つ先行という苦しい土俵が続く、もう1人の大関豊昇龍（25＝立浪）は、結びの一番で琴勝峰（25＝佐渡ケ嶽）と対戦。4年ぶりの対戦で、一度はいなされて体が泳いだ大関だが、逆襲から寄り切って6勝目を挙げた。 　貴景勝（28＝常盤山）が途中休場したため3人が出場している関脇陣で、最も注目される全勝の大の里（24＝二所ノ関）は、ただ一人1差の1敗で追う関脇霧島（28＝音羽山）と対戦。霧島の立ち合い左変化にも動じず、右を差すと左からもおっつけ寄り切りで完勝。単独トップ堅守の10連勝とし、後続に2差をつけた。また大関昇進の目安にも、残り5日で2勝とした。3場所連続関脇在位の阿炎（30＝錣山）は、宇良（32＝木瀬）にとったりで敗れ、2勝8敗と負け越しが決まった。阿炎の負け越しは今年初めてで、昨年九州場所以来、5場所ぶり。 　小結大栄翔（30＝追手風）は王鵬（24＝大嶽）に突き落としで敗れ、星を5勝5敗の五分に戻された。この日で役力士との対戦が終わった王鵬は、6勝4敗で後半戦に入る。大関昇進への足場固めの場所にしたい小結平戸海（24＝境川）は、翔猿（32＝追手風）を寄り切って6勝目。2場所連続2ケタ10勝には、残り5番で4勝が求められる。 　幕内優勝経験者で返り入幕から2場所目の若隆景（29＝荒汐）は、2敗同士の好一番で遠藤（33＝追手風）と対戦。立ってから瞬時に右へ動いて遠藤を突き落とし。2場所連続の勝ち越しを決めた。先場所、最終盤まで優勝争いに加わった美ノ海（31＝木瀬）は、玉鷲（39＝片男波）に押し出されて4敗目（6勝）を喫した。 　幕内下位で2敗の高安（34＝田子ノ浦）は錦富士（28＝伊勢ケ浜）を押し出して3場所ぶりの勝ち越し決定。同じく2敗の錦木（34＝伊勢ノ海）も輝（30＝高田川）を押し出して、4場所ぶりの勝ち越しを決めた。平幕下位の34歳コンビが健闘を続けている。 　苦しい土俵が続いている新入幕コンビは、白星そろい踏みとなった。西前頭14枚目の阿武剋（24＝阿武松）は金峰山（27＝木瀬）を寄り切って4勝目（6敗）、負け越しピンチの東前頭16枚目の白熊（25＝二所ノ関）も武将山（28＝藤島）を寄り切って、3勝7敗と踏みとどまった。 　10日目を終え、全勝は大の里。後続は2差をつけられた2敗の霧島、若隆景、錦木、高安の4人が続く。