MLB初経験の35歳に20億超えの年俸締結の“なぜ” 菅野智之の高額契約が実現した背景にあるMLBの「投手事情」
巨人のエースがついに海を渡る。現地時間12月16日、MLBのオリオールズは球団公式Xで、今オフに巨人から海外FAとなっていた菅野智之と契約したことを発表した。 【動画】巨人の大エース・菅野智之の「歴史的な」奪三振シーン 気になる契約は、予想を大きく上回る規模となった。米スポーツ専門局『ESPN』のジェフ・パッサン記者らのリポートによれば、菅野は1年1300万ドル(約20億円)の契約を締結。さらに年俸以外にオールスター選出やサイ・ヤング賞受賞などによる出来高払いで以下のボーナスが付帯するようだ。 オールスター選出&出場:5万ドル(約750万円) サイ・ヤング賞受賞:10万ドル(約1500万円※同賞の投票2位なら7万5000ドル=1130万円、同3位なら5万ドル=約750万円) ゴールドグラブ賞受賞:5万ドル(約750万円) ワールドシリーズMVP:10万ドル(約1500万円) リーグ優勝決定シリーズMVP:5万ドル(約750万円) オリオールズは、2024年シーズンに15勝を挙げたサイ・ヤング賞投手のコービン・バーンズがFAで退団。目星のつく先発候補は、13勝のグレイソン・ロドリゲスとシーズン途中でレイズから移籍して10勝(2チーム合計)を挙げたザック・エフリンしかいない。今後の補強次第ではあるものの、現状では菅野は先発ローテの3番手という役割になる可能性が高い。 3、4番手の先発投手、それも菅野はメジャー初経験の35歳。そうしたことを考えても、単年というシビアさはあれど、20億円と上記のボーナスが付帯する契約は十分すぎる評価と言えるのではないか。 なぜここまで菅野の評価は上がったのか。 無論、24年にNPBで残した好成績の影響はある。24先発で15勝(3敗)、防御率1.67、WHIP0.94。さらに与四球率0.92という図抜けた制球力を持つ実力はメジャーでも屈指。単なる“ルーキー”ではないとみなされ、ジャイアンツやパドレスなど水面下での争奪戦は熾烈を極めた。ゆえに契約金の高騰に繋がった。 また、MLBにおける投手事情の変化も好影響をもたらした。近年は投手の負荷が増加したことでトミー・ジョン手術などの大怪我を負う選手が続出。そのため、各球団の先発不足が深刻化し、FA市場では、いわゆる「目玉」とされるエース級でない中堅クラスの選手でも年俸が急騰。高額契約が目立っており、菅野も需要の波に乗ったと言えよう。 何はともあれ、自身の念願だったメジャー契約を勝ち取った菅野。ここから1年間の投球次第で、さらなる好条件での契約締結も見込めるだけに、その一挙手一投足から目が離せない。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]