渡辺謙、敵ライオン・キロス役に感情移入 ディズニー映画「ライオン・キング:ムファサ」
アフレコの収録の際はまるで演技をしているように手ぶり、身ぶりを交えながらせりふを吹き込んだ。
「言葉というのは、体を使って表現するもの。さすがに四つんばいで吹き込むのは難しいが、ライオンが何かを表現することに自分の体を貸すという感じでアクションを付けた」
■今の時代だからこそ
超実写版「ライオン・キング」はもともと、1994年公開の同名の長編アニメのリメーク版。「ライオン・キング」のテーマの一つに、自然界を支配する「サークル・オブ・ライフ」(生命の環)がある。
「30年前にオリジナル版が作られた頃はいろいろな人種がいて、さまざまな問題があっても、手を取り合って輪を作ろうという『サークル・オブ・ライフ』という考え方は実社会に近かった気がする。しかし30年たち、今は実社会から遠ざかっているのではないか」
その背景には「分断や紛争、戦争状態など、いま世界は厳しい状況の中にある。それは常に食うか、食われるかといった野生の動物界とある種似ているところがあると思う」。
その上で、「だからこそ相互理解をしたり、手を取り合ったりしていくべきではないかというメッセージが本作に込められている気がする。今の時代だからこその作品ではないか」と見どころを語った。(水沼啓子)
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監督はバリー・ジェンキンス。20日から全国公開。1時間58分。
■渡辺謙
わたなべ・けん 昭和34年、新潟県出身。55年、演劇の舞台でデビュー。映画「ラストサムライ」「硫黄島からの手紙」や、舞台「王様と私」など国内外で活躍。NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」「炎立つ」で主演。息子は俳優の渡辺大、娘は俳優の杏。
■あらすじ
両親と離れ、孤児となったムファサは王の血筋をひくタカ(若き日のスカー)と出会い、兄弟の絆で結ばれる。ある日、強大な敵キロスの脅威から逃れるため、彼らは約束の地ミレーレを目指すが、ある出来事が彼らの運命を変えることに…。