渡辺謙、敵ライオン・キロス役に感情移入 ディズニー映画「ライオン・キング:ムファサ」
まるで実写のようなリアル感で大ヒットを記録したディズニー長編アニメーション映画「ライオン・キング」(2019年)。本作はその前日譚で、息子シンバを命がけで守った父ムファサとタカ(後の悪役スカー)との幼き日の出会いが描かれている。吹替版でムファサとタカを追い詰める冷酷な敵ライオン、キロスの声を演じた渡辺謙(65)が本作について語った。 ■ディズニー初参加 本作も、前作に続き超実写版と銘打たれており、実写の背景にCGキャラクターを合成したと見間違えたほどだ。実際はVR(仮想現実)空間で撮影されたフルCGアニメとして製作された。 渡辺は、今回がディズニー映画初参加となる。 「子供が小さかったときは、『白雪姫』とかディズニー作品のほとんどを一緒に見ている。ディズニー作品はメインキャラクターだけでなく、悪役といったサブキャラクターもちゃんと描かれているので、『キロス』役も面白いのではないかと思った」 さらに、ディズニー作品について「必ず何らかのアイロニー(皮肉)が含まれている。人間の弱さであったり、ある種の醜さであったり、そういった部分もしっかり描いていて、さすがだなと思っていた」と評価する。 ■身ぶり手ぶり交え 当初、キロスをどう演じるかで悩んだ。「キロスはライオン界から疎外され、弾かれた者たちが肩を寄せ合っている群れを率いている。その切なさやむなしさなど、バックグラウンドをイメージしてからは感情移入しやすくなった」 また、字幕版のキロス役、デンマーク出身の名優、マッツ・ミケルセンの演じ方が「大きなガイドになった」と語った。特にキロスが歌う劇中歌「Bye Bye」は大いに参考になったという。 「複雑な音と軽妙なアフリカサウンドに乗せて歌わなければいけないが、そこにキロスらしさをどう盛り込めばよいのか見当がつかなかった。何度もトレーニングしてから歌ってみたが、キロスのかけらも感じられなかった」と振り返る。 しかし、「マッツはものすごく粘っこく歌っていた。『バイバイ』というフレーズが何度も出てくるが、かなりふざけていて、どこか達観している感じが出ていた。真綿で首を絞めるようなイメージで歌った方がいいんだと気づいてからは、結構うまくはまった」。