GS元社員が暴露する…ボーナス支給翌日の大豪遊パーティーで見た「信じがたい光景」
世界トップクラスの地位と報酬が約束されたゴールドマン・サックス。だがその実態は、金と女性に対するおそるべき強欲、嫉妬にまみれた職場だった――。 【マンガ】38歳会社員が2500万の「軽井沢の別荘」を購入…思わぬ出費で大後悔 同社の元マネージング・ディレクター(上位8%の幹部職)の女性が1998~2016年の在職期間に目撃した、ミソジニー(女性嫌悪)と人種差別にあふれる、堕ちた企業風土を明らかにする衝撃の暴露本『ゴールドマン・サックスに洗脳された私』から、一部内容を抜粋してお届けする。 巨額の退職金を捨てて、秘密保持契約書(NDA)へのサインを拒否。同社の内幕を告発する道を選んだ彼女の回顧録を読み進めるうちに明らかになる、金融資本主義の欺瞞と、その背後にある差別的な思考とは?
ボーナス支給日翌日の「パーティー」
ボーナスの次の日の晩、〈ウィンドウズ・オン・ザ・ワールド〉で毎年恒例のホリデー・パーティが開かれた。ワールド・トレード・センター、タワー1の107階にあるこのレストランからは、市全体を見下ろすことができる。ニュージャージー州で育った者にとって、このツインタワーは慣れ親しんだ光景だ。いつも遠くから眺めていた。でも、中に入るのはこのときが初めてだった。 エレベーターに乗り、数百メートルの高さまで一気に上がっていくと、気圧の変化で耳が詰まった。耳をこすればこの不快感がなくなるとでもいうように、思わず耳に手をあてた。すると、エレベーターの操作盤の前に座っている黒いスーツに黒いネクタイの細身の案内係が、私をじっと見た。 「唾液を飲みこむといいですよ」彼はそう言って微笑んだ。ポンと耳内の圧が抜けたので、感謝の気持ちをこめて案内係に微笑み返す。案内係の目の下にはクマができていて、疲労のせいか、あごの肉が垂れ下がっていた。
気恥ずかしくて顔が赤くなった
チンと鳴って、エレベーターのドアが開いた。「ウィンドウズ・オン・ザ・ワールドにようこそ」エレベーターの案内係が広い受付エリアのほうを腕で示しながら言った。私に向かってウィンクをしてきたので、笑顔でうなずいた。そこは円形の部屋だった。中央ではタキシードを着たピアニストが小型のグランドピアノを弾いていて、その頭上にはシャンデリアがぶら下がっている。ピアノの横では、赤いロングドレスを身にまとったソプラノ歌手がクリスマスキャロルを歌っていた。 エレベーターから出るとすぐに、白い手袋をしたタキシードの男性が近づいてきて、私の鞄を受けとり、コートを脱がせてくれた。私は気恥ずかしくて顔が赤くなった。エキストラとして映画の撮影現場にでも来たような気分だ。