豚はお尻で呼吸する? クスっとするけど大きな発見は、挫折からの発想の転換で生まれた 医局を離れた町医師の大きな夢
■「かお」 イグ・ノーベル賞を受賞した医師の岡部亮(おかべ・りょう)さん 【写真】〈関連〉「患者と向き合うからこそできる研究はある」などと話す岡部亮さん
人を笑わせ、そして考えさせる研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」。哺乳類がお尻からも呼吸できることを発見し、今年の生理学賞に輝いた。約1万件の候補から選ばれ「とにかくうれしい」。研究チームで実験を担い、論文の筆頭著者を務めた。 「小さい頃から生き物の生態に興味があった」。今回の研究は、えらだけでなく、腸や皮膚でも呼吸できるドジョウがヒントになった。人工多能性幹細胞(iPS細胞)から肺をつくる研究で壁に直面した際、肺機能が低下した人間にも「腸呼吸」を応用できないかと考えた。 なかなか結果が出なかったが、低酸素状態のマウスやブタに、多量の酸素を溶かした液体をお尻から投与すると、血中の酸素量が改善した。肺の機能を完全に肩代わりするのは難しいが、「将来的に超低出生体重児の命をつなぐことができれば」。 鹿児島大医学部を卒業後、京都大医学部付属病院に進み、肺移植の第一人者である伊達洋至教授の下で学んだ。日本はドナー不足が深刻で、移植手術を待っている間に亡くなる患者が大勢いる。「臨床現場での経験が研究の原動力」と力を込める。
家庭の事情で医局を辞め、現在は東京・築地のビルの一室で在宅診療所を営む。高齢者宅を訪問する毎日だが、合間を縫って研究を続けている。「両立は簡単じゃないが、患者と向き合うからこそできる研究はある」 気分転換で銀座の街に散歩に出かける。「誠実さ」が信条という45歳。鹿児島市出身。
南日本新聞 | 鹿児島
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