令和に乗ったトヨタ・スープラ80は“ワイルド・スピード”の気分だった 高騰する平成スポーツカーの魅力とは
程度によっては4ケタ万円!
オドメーターは14万kmを超えているけれど、車体の剛性感はばっちりで、路面コンディションの悪い場所を突破してもミシリとも言わない。足まわりもきちんと整備されているようで、しなやかに上下動して路面からの衝撃を緩和しつつ、不整を乗り越えた後の揺れはビシッと抑える。セリカXX、70スープラと同じように、この個体も「Vintage Club by KINTO」の手によって、丁寧にレストアされている。 ABC(アクセル・ブレーキ・クラッチ)ペダルのレイアウトもぴったしカンカンで、ヒール&トゥが気持ちよく決まる。セリカXXと70スープラは、どちらかというと峠を攻めるよりグランドツアラーという趣であったけれど、80スープラに関してはオールマイティ。山道では気持ちよくノーズが向きを変えてくれるし、高速道路では快適にクルーズできる。取材日の外気温は摂氏30度を軽く超えていたけれど、エアコンも寒くなるほど効く。 旧車とかネオクラシックというよりは、80スープラに関しては現代のスーパースポーツと遜色ないという印象だ。旧車事情に詳しい小塚大樹カメラマンによると、「80スープラの相場が上昇していて、特にRZ-Sは程度によっては4ケタ万円ということもあります」とのこと。 ちょっと古いクルマの相場が高騰することは必ずしも好ましくはないけれど、それでも日本車の誇るべき歴史が継承されるのは、素敵なことではないか。3世代のスープラを垂直テイスティングすることで、日本にもスポーツカーの文化が醸成されていることを実感することができた。富士スピードウェイホテルの宿泊プラン「Supra Summer Festival」は、クルマ好きにとっては超ファインプレーだ。
文・サトータケシ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)