「103万円」引き上げをアルバイト学生は歓迎 年収の壁は他にも、「皆に恩恵を」の声
店舗では年末にかけて商戦が激化するが、従業員の帰省などで人手が不足しがちとなる。アキダイの秋葉弘道社長は「103万円の壁を理由にシフトに入りたくても入れなかったアルバイト従業員の勤務が可能になるので助かる」と期待する。
一方、106万円の壁の撤廃については「パート従業員が今よりも不自由な勤務を余儀なくされかねない。全ての労働者が恩恵を受けられるようにすべきだ」と訴えた。(宮崎秀太)
■所得税、社会保険…段階的に発生
年収が100万円を超えると、住民税が課されるようになるが、さらに一定額を上回ると、所得税の納付や厚生年金など社会保険料の支払い対象となり、手取りが減る。その境目が「年収の壁」と呼ばれるものだ。
「壁」は3つある。
1つ目は「103万円の壁」だ。親の扶養に入るアルバイトの学生らに関わる。その学生らの年収が103万円を超えると、控除対象外となり、所得税が課せられることになる。
2つ目は「106万円の壁」。対象は、配偶者の扶養に入るパート従業員だが、«事業所の従業員数が51人以上»«労働時間が週20時間以上»などの全ての条件を満たす場合に限られる。
これらの条件を満たすパート従業員が、年収106万円を超えてしまうと、社会保険への加入が義務付けられ、手取りが減少する。
3つ目は「130万円の壁」で、事業所の従業員数などに関係なく、その他の全てのパート従業員が対象となる。年収130万円を超過すると、それらのパート従業員も社会保険への加入が必要となる。
税理士の舘野義和氏は「壁がなくなれば、働き手は手取りが増え、雇用者も人手不足の解消につなげられる」と話した。