退職金や実母の貯金など4200万円を振り込む「優しい言葉で心の隙間に入られた」 好意を抱いた相手から“投資話”...被害者が語る『SNS型ロマンス詐欺』の実態
「ロマンス詐欺」で4200万円被害 知り合ったきっかけはDM…メッセージのやり取りを繰り返し好意・信頼
今、詐欺の1つで、恋愛感情につけ込み心を弄ぶロマンス詐欺が急増しています。4200万円をだまし取られたという62歳のAさん(独身)に今回、被害の体験談を聞きました。 Aさんは去年8月にインスタグラムを開始。すると、“ある52歳の男性”からダイレクトメッセージが届きました。送り主は、母は日本人で父がアメリカ人だというケビン(自称)。世界的IT企業勤務のアメリカ人で、東京支社に3年の予定で赴任しているということでした。 Aさんはこの人物とメッセージのやり取りを何度も繰り返すうちにどんどん引き込まれていきました。富裕層らしい食事やニセの免許証の写真なども見せられ、信用してしまったといいます。実際のやり取りを見せてもらうと、Aさんが送った「仕事に行ってきます」というメッセージには「暖かくしてください。外は風が強くて寒いです」という返信が。 (Aさん)「心の中の隙間にすっと入ってこられた気がします。すごく優しい言葉で…。『一緒に家庭を築いていこう』という言葉があった。そういうことを言われることが自分にはうれしかったのかもしれません」 やり取りを始めてから2週間後、この人物は投資話を持ちかけてきました。「お金を増やすのにいい方法がある。自分も投資でお金を増やしているので、やり方を教えるよ」といった入りだったということです。すっかり信頼しきっていたAさんは指定された専用のアプリをインストール。最初に投資した額は10万円でした。 その後、お金が増えていると信じてしまい、退職金(約2000万円)、自身の貯金(約1000万円)、実母の貯金(約1000万円)、消費者金融からも約150万円お金を借りたといいます。振り込んだその総額は約4200万円でした。
息子からの指摘で「詐欺」だと気づく
(Aさん)「(Qおかしいと気づくきっかけは?)息子に連絡したら、『詐欺ちゃうん』『警察を呼ぼう』と言われて」 お金が足りなくなって息子に連絡をした際に息子から指摘を受け、ようやく詐欺だと気づいたといいます。 (Aさん)「信用してしまっているんですね。だから周りが何を言っても自分たちの世界の中で、だまされようが何をしようがストップがきかなくなってしまうんですね。思い出したらすごく暗い気持ちになりますし、しんどいです」 Aさんはアプリにどんどんお金を入れている間、自分の資産が増えていると思っていました。また、ケビンと名乗るこの人物に好意を持っていたので、全く疑うことはなかったということです。今までの人生でかけられたことのないような優しい言葉をかけてくれて、自分の体調を気遣ってくれた、本当にありがとうと思っていた、と。しかし、「今振り返ると、心の隙間にすっと入ってくる恐ろしさがあった」と話します。 息子が警察に相談した結果、警察には「被害届を出したとしても犯人を探し出すことは無理。お金は戻ってこない」と言われたということです。