パチンコの“キャッシュレス化”議論、ユーザーたちの本音 「際限なく使いそうな怖い誘惑」「財布の中の千円札が減るのは助かる」…期待と不安の声が交錯
キャッシュレスになれば財布が“千円札だらけ” にならずにすむ
キャッシュレス決済の導入を心待ちにしているユーザーもいる。神奈川県に住む自営業のBさん(40代男性)は、パチンコ以外で現金を使う機会があまりないという。 「普段の買い物は基本的にスマホでのキャッシュレス決済。現金で支払うことはほとんどありません。財布にはつねに7万円くらい入れていますが、基本的にパチンコホールで使うためのお金です」 Bさんは、財布が千円札であふれてしまう状況に困っていると話す。 「基本的にパチンコを打つときは、サンド(玉貸機)に1万円を入れるんです。その1万円をまるまる全部使うこともありますし、途中で当たれば残高を精算して帰ります。その精算したお金は全部千円札で返ってくるので、気づいたら財布の中が千円札だらけになっている。普段現金で買い物をしないので、千円札がどんどん増えていくんです。その千円札はパチンコに使いますが、正直千円札を何回もサンドに入れるのは面倒くさい。 ホールでキャッシュレスが使えるようになれば、千円札があふれることもなくなるので、ぜひとも導入してほしいです」(Bさん)
軍資金のマイルールがあればキャッシュレスは不要
現金を使って遊技するからこそ、“小遣いの範囲内”で楽しめているというユーザーもいる。都内の会社員Cさん(40代女性)は、“パチンコ用の財布”を用意している。 「一応“毎月5万円まで”をパチンコ用の軍資金として使えるという自分の中のルールを決めています。その軍資金をパチンコ用の財布に入れて、その範囲内で遊ぶんです。 もしパチンコで勝てば、増えたお金を軍資金に繰り越して、その中で遊ぶ。もしも軍資金が尽きてしまったら、1か月5万円以内の範囲内で銀行口座から下ろしてパチンコ用の財布に追加する、という形です。だから、勝っているときは銀行から下ろさずに打てるし、軍資金がなくなったら次の月になるまで打たないというのがマイルールです」
決まった額の現金内で遊技を楽しむCさんにとって、キャッシュレス決済は「必要ない」ものだという。 「私は普段の買い物でキャッシュレス決済を利用していますし、パチンコホールで導入してもいいと思いますが、利用したいとはまったく思いません。やっぱり現金で遊技しているからこそ、小遣いの範囲内をキープできていると思うし、残高が少なくなると大事に使おうという気持ちにもなる。お金を使う遊びなので、“お金のありがたみ”をより強く感じられる方がいいですね」(Cさん) ユーザー自身が過剰なのめり込みをしないように心がけているなか、キャッシュレス決済を導入することが、依存症を生み出すことになっては、まったく意味がない。将来的なキャッシュレス化を目指すにしても、パチンコ・パチスロ業界はより深く議論を重ねる必要があるといえよう。 ■前編記事:パチンコホールはなぜキャッシュレス化できないのか?立ちはだかる難題の数々 依存症対策と逆行、違法な現金化への懸念…かつてのプリペイド方式が頓挫した経緯も