パレスチナ解放機構職員が東北視察 難民キャンプの改善に「日本の復興ノウハウ生かす」
東日本大震災の被災地の復興経験などを学ぶために来日しているパレスチナ解放機構（PLO）難民問題局の職員が24日、都内で産経新聞の取材に応じた。パレスチナ自治区ガザを巡るイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの紛争開始以降、PLOが活動するヨルダン川西岸の難民キャンプでは貧困状況が悪化し「食事もままならない状況だ」として、日本の復興ノウハウを環境改善に生かしたいと語った。 【写真】取材に応じるパレスチナ解放機構難民問題局のアンワル・ハマム次官ら 同局の職員10人は13日から、西岸地区で難民キャンプ運営を支援する国際協力機構（JICA）の研修で来日。被爆地の広島県や震災被災地の宮城県東松島市、福島県浪江町を視察した。被災地では震災遺構を見学し、住民参加型のまちづくりを学ぶなどした。 アンワル・ハマム次官（53）は「被災地で印象的だったのが災害をチャンスに変えた点だ」と指摘した。復興と震災前の課題をまとめて解決する姿勢に感心したとして、「包摂的な住民参加型の復興開発をパレスチナに合わせた形で導入したい」と語った。 ガザ紛争の影響は西岸地区にも及び、イスラエルの定期的攻撃による死傷者の増加やインフラ破壊が深刻化。子供や障害者を対象にした国際支援も止まったままという。同局のナンシー・アルヒンディー氏（45）は「情勢が悪化してもあきらめない支援体制がJICAの支援でできた。戦争の恐怖に対する心のケアも含め、基本的な生活ニーズの実現に向けた努力を続ける」と述べた。 JICAは1994年からパレスチナ自治区の支援を開始。2016年からは西岸地区で難民キャンプの生活改善事業を実施し、住民による自治組織をつくるなど住民参加型の運営を後押ししている。（桑村朋）
