奥能登豪雨後、石川県の愛護センターは犬や猫の引き取り数が増加 収容数は限界に
仮設住宅はすべて「ペット可」
奥能登から金沢へ戻る途中、七尾市にある石川県能登中部保健福祉センターを訪問。職員(獣医師)の餅井眞太郎さんに話を聞いた。地震発災後、県が担当者に説明して、仮設住宅はすべて「ペット可」になっているとのこと。「それまで一緒に暮らしていたペットと仮設住宅に入居できなかったら、日常生活を取り戻したことにならないと思います」。被災者への配慮を聞いて、こちらも温かい気持ちになった。 確かに、仮設住宅の敷地に、犬・猫のキャリーバッグが置かれているのを私たちも見かけた。仮設住宅が「ペット可」であれば、犬・猫と一緒に生活再建を目指すことができる。 しかし、奥能登では、豪雨災害によって仮設住宅までもが床上浸水となってしまった。ライフラインは振り出しに戻っているという。心ならずも二重災害に見舞われて、人と動物のきずなが断ち切られていくのは痛ましい。
環境の激変にとまどっている様子の猫たち
翌10月4日、私たちは津幡町の森林公園内にある「いしかわ動物愛護センター」しっぽの家族を訪ね、珠洲市からのミントちゃん、マリちゃん、みかんちゃん、まどかちゃんと面会。4匹は10月1日に石川県に引き取られ、奥能登から津幡町のセンターに搬送され、駆虫とワクチン接種が行われていた。「ここはどこ?」「なぜママやパパがいないの?」環境の激変にとまどっている様子の猫たちに胸が痛んだ。 4匹の猫たちを航空機用のキャリーバッグに入れ、センターの職員が運転する「令和6年能登半島地震動物対策本部」と表示された県の車で小松空港へ。羽田到着後、連携する苅谷動物病院グループ・三ツ目通り病院に4匹を搬入した。 ミントちゃん、マリちゃん、みかんちゃん、まどかちゃんはメディカルチェックを受け、ウイルス検査で猫エイズウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)ともに陰性を確認。便検査でも、直接・浮遊ともに複数回行って、陰性が確認された。ちなみに、4匹ともに女の子で、不妊手術が行われていなかった。完全室内飼育だったため、妊娠・出産はなかったようだ。 4匹は健康状態に大きな問題が見られなかったため、不妊手術を実施。手術も問題なく終わったが、まどかちゃんについては、子宮に水がたまっているのが見つかった。医療にかけなければ、子宮蓄膿(ちくのう)症を発症して、命を落としていた可能性もある。猫の健康と命を守るためにも、不妊手術は必須とあらためて思った。4匹は、抜糸後に退院して、私たちが運営する「東京シェルター・シェアリング神田神保町」に入所する予定だ。 10月25日から27日、東京ビッグサイト南1ホールで、朝日新聞社sippo編集部が開催する「sippo EXPO」人にも、犬にも、猫にも みんなのGOOD LIFEをめざす展示会が開催され、「保護犬猫譲渡会」も同時開催される。能登半島豪雨の被災猫、ミントちゃん、マリちゃん、みかんちゃん、まどかちゃんも27日午前の譲渡会に参加するので、ぜひお申し込みいただければ、と願っている。 【被災猫の救援活動のため、クラウドファンディングに挑戦】 能登半島の震災・豪雨の被災猫の救援活動のため、一般社団法人東京都人と動物のきずな福祉協会では、クラウドファンディングに挑戦しています。「能登半島の被災猫を保護し、医療にかけ、譲渡につなぐ。」ご支援、シェアをどうぞよろしくお願いします。