山口まゆ、海外で大反響を受けた最新主演映画。性暴力被害に遭ったヒロイン役…蘇る撮影当時のつらさも「今では素直に応援できる」
性暴力を受けた過去と向き合う役に
2024年3月16日(土)に主演映画『ブルーイマジン』が公開される。この作品は、性暴力やDV、ハラスメント被害者たちのトラウマに寄り添う多国籍シェアハウスを舞台に、心に深い傷を負った女性たちが連帯し、声をあげようと奮闘する姿を描いたもの。 山口さんは、過去にある映画監督から性暴力被害に遭ったが、そのことを誰にも打ち明けられず、苦しんでいる俳優志望の主人公・斉藤乃愛(のえる)役を演じた。 「主演ですし、題材も難しいので、『大丈夫なのかな?』という不安はもちろんあったのですが、脚本を読んで、ちゃんと伝えていかなきゃいけないなと思いました」 ――監督はどのようにおっしゃっていました? 「松林さんとは、作品に入る前にお話をする機会があったのですが、そのときから『大丈夫ですか?』とか『つらくないですか?』『イヤことがあったら言ってください』って、ずっと気遣っていただいて。 前を向ける作品にしていきたいという松林さんのお気持ちは伝わってきたので、そこはブレずに頑張っていきたいと思っていました」 ――優秀な弁護士である実のお兄さんにも自分の性被害のことを言えないというのも非常によく出ていましたね。 「あの兄とのシーンは、監督と結構お話をさせてもらいました。私が演じた乃愛の周りにいる人って優しい人しかいないんですよ。悪い風に見えるかもしれないけど、お兄さんだって手を差し伸べようとしてくれていたのに、タイミングが合わなかっただけで。 タイミングもいろいろあるじゃないですか。だから、お兄さんが悪い人にならないように、全員が悪者になってしまわないようにということは話し合いました。悪い人もいますが、結果的に乃愛の周りにいる人は優しい人ばかりだったということに、後から気づけるような作品だと思います」 ――ひとりで苦しんでいた乃愛が「ブルーイマジン」に集まっている人たちと話すうちに変わっていく様がとてもよく出ていました。演じていていかがでした? 「やっぱりひとりで頑張ることも大事だし、ひとりで解決できることもあるかもしれないけど、誰かに手伝ってもらうというか、助けてもらうことも必要なときもある。 ひとりで頑張らなくていいというのは、『ブルーイマジン』のみんなを見てすごく思いました。最後に変わっていく、その変化というのはずっと意識していました。 人間はそんなすぐには変われないけど、乃愛は93分の中で変わらなくちゃいけないので、どこが発端で変わっていくのかというのは、作品に入る前から松林さんと本当にたくさんお話しました。監督は全体が見えているからこそ、そういうところを(監督に)聞いておきたかったんです」 ――難しい役柄ですが、いかがでした? 「いろんな記事を読んだり、ドキュメンタリー番組などを見ていくなかで、被害に遭われた方の奥底にある気持ちは理解したくてもわからなかったり、自分の中に落ちない部分があったり。だからこそ、寄り添いながら丁寧に演じていくことは常に意識していました」 ――完成した映画をご覧になっていかがでした? 「撮影当時つらかった記憶が一番強いのですが(笑)。出来上がったものを見たときに、あのときのつらさと、乃愛のつらさとか、いろんなものがリンクして、1年経った自分が見たときに『頑張れ!』って素直に応援ができるって感じて。少しでも自分が乃愛とつながることができたのかなとは思いました」 ――この映画は、ロッテルダム国際映画祭でも上映されました。 「はい。すごく反響があったと聞きました。女性に限らず、男女ともに世界共通で抱えている問題なので、この映画に少しでも救われる人がいてくれたらうれしいなと思っています」 ――今後はどのように? 「すごく大きい目標を立てているわけじゃないですけど、2025年までの2年間は思い切り走り続けて、芸能界での自分の位置を確立していけたらいいなと思っています。2025年、25歳ってキリがいいじゃないですか(笑)。頑張る2年間だと思っています」 2023年に大学を卒業し、仕事に専念している山口さん。さらなる活躍に期待している。(津島令子) ヘアメイク:美樹(Three PEACE) スタイリスト:梅田一秀