元ソニーのPCメーカー・VAIOをノジマが111億円で買収。法人事業の成長に注目か
家電量販店のノジマは11月11日、PCメーカーのVAIOを買収すると発表した。 VAIOの株式は現在、日本産業パートナーズ(JIP)などの投資ファンドをメインに設立されたVJホールディングス3株式会社(VJHD3)が91.4%を保有している。 【全画像をみる】元ソニーのPCメーカー・VAIOをノジマが111億円で買収。法人事業の成長に注目か ノジマはVJHD3の全株式とVAIO自身が持つ5000株を公正取引委員会の承認を得たのちに取得。実行後はノジマが約93%のVAIO株式を保有することになる。株式譲渡効力発生予定日は2025年1月6日で、買収費用は111億円(アドバイザリー費用等を除く)。 なお、ノジマは同日のプレスリリースで「今回の株式取得(子会社化)によってVAIOの事業運営方針やお客様との関係に変更はありません」と公表。 VAIO側も「独立性は尊重され、社名、代表取締役・経営執行陣、事業運営方針、お客様との関係およびブランド商標に変更はございません」とVAIOブランドや事業の方向性について変更はないと明言した。
独立後「法人PC」に特化したVAIO
VAIOは2014年7月にソニーから独立した(ソニーは現在も4.7%のVAIO株を保有している)。 ソニー時代はコンシューマー向けにハイエンドかつユニークな特徴を持つPCを展開していた。強いブランド力はあったが赤字が続き、JIPを中心とした投資ファンドに事業売却された。 独立後は法人向けに舵を切り、VAIOブランドらしい特徴的な機能や外観、堅牢性に注力。直近の2024年5月期では、売上高は421億2900万円、純利益は9億8500億円(ノジマ発表資料より)と2年間は黒字経営が続いている。 Tech Insiderが10月に実施したインタビューで、VAIOの現社長・山野正樹氏は黒字化の要因を「法人営業へ注力したこと」とし、「(個人だけではなく)法人向けもまだまだ開拓できる」と話していた。 実際、ノジマプレスリリースでもVAIO株式取得の理由について、VAIOの製造技術に加え「特に法人向け事業に注力し、事業を拡大」している点を挙げている。
小林 優多郎