「プロ野球90年」ロックバンド「サカナクション」」のボーカル・山口一郎さんが語るディープなドラゴンズ愛「ナゴヤ球場に広告が出せて夢みたい」
発足から90年を迎えたプロ野球への思いを聞くインタビューシリーズ。人気ロックバンド「サカナクション」のボーカルの山口一郎さんは、2軍戦で使用するナゴヤ球場に自費で広告を出すほどの熱烈な中日ファン。本業の音楽と同様「一生やめられない」というドラゴンズへの思いを語った。(聞き手 共同通信・品川絵里、児矢野雄介) 【写真】「あの辛さを知っているから…」 中日のノーヒッター、山井大介が縁もゆかりもない東北で今も支援を続ける理由
▽北海道でドラゴンズファン 父が岐阜県・飛騨金山の出身で、根っからのドラゴンズファン。北海道に移り住んで僕が生まれたんですが、当時の北海道は巨人ファンばかりで、学校に行くとみんな巨人ファンで自分だけドラゴンズファンでした。音楽もそうだけど、みんなが好きなものを好きって言いたくない気持ちもあった。僕も父も釣りが好きで、よく釣りに行く車の中でドラゴンズ戦のラジオを聞いていました。今はインターネットがあるけど、当時は北海道でドラゴンズの情報を手に入れるのは大変。父が「月刊ドラゴンズ」という雑誌を購読していました。 2006年に日本ハム対中日の日本シリーズがあったときは、北海道で深夜の居酒屋でアルバイトしていたんです。北海道に移転して初めての日本シリーズだったので、北海道中が日本ハムで盛り上がった。僕が働いていた居酒屋でも、僕以外の全員が日本ハムの応援。中日が打った時に僕1人だけが盛り上がって、その時のアウェー感は今でも覚えています。
▽野球は最高のドキュメント 2軍戦も毎日見ています。1軍戦も2軍戦も必ずチェックする。今どの選手が調子がいいとか、けが人が出たときに誰が上がってくるのかなとか、そういう予測をして見るのが楽しい。いろいろ情報を知っておくと、1軍に上がって代打で出た1打席とかに、その選手の思いみたいなものが分かるじゃないですか。そういうときに、打ったり守ったりするのを見て感動するので。 常にいろんなドラマが起きているのが野球の面白さ。一人一人のドキュメントがあるし、監督やコーチのドキュメントがあるし、プロになろうとしている人のドキュメントもあるし、ドキュメントの最高峰だと思います。 野球人生って短いじゃないですか。その中でどれだけ輝くか。プロは高校野球と違ってお金のにおいがして嫌だと言う人もいるけど、皆さん働いているわけですよね。この期間でどれぐらい稼げるか、家族をどう守るか、そういうバックグラウンドのストーリーがあるというのはプロ野球の魅力じゃないかな。現役ドラフトで入って来て、和田一浩打撃コーチと出会って開花した細川成也選手の活躍もドラマですよね。