【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第13ステージ】分断からの復活。そして区間3勝目。ミランが改めて最速の証明を果たす。「一人ひとりが自分の役割を全うした。チームのみんなを誇りに思う」
仕掛けたのはイネオス・グレナディアーズ。行く手に横風と、たくさんの曲がり角が控えていることは、誰もが分かっていた。しばらく前からすでに、集団は緊迫感に満ち満ちていた。そして右直角コーナーを抜け出した瞬間、総合3位ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)擁する英国軍が、一気に集団最前列へと駆け上がった!
「その他大勢になるよりは、仕掛け人になろうと考えた。わずかに風が吹いていたし、開けたセクションがいくつかあったから、何が起こるのか試してみようと思ったんだ」(トーマス)
またたく間に集団は真っ二つに割れた。すぐには状況が把握できない中で、イネオスは幾度となく畳み掛けた。元タイムトライアル世界王者の2人、フィリッポ・ガンナとトビアス・フォスが中心となり、かつては北クラシック巧者だった「G」を囲み、斜め隊列をせわしなく回した。
ただ「主なGCライダーたちはみんな前にいた」とトーマスが振り返ったように、マリア・ローザ姿のポガチャルは、何ごともなく前方にとどまっていた。実は総合トップ10県内の選手も何人か後方に吹き飛ばされてはいたのだが、いわゆる総合表彰台候補は、1人として罠にはまらなかった。
「強いチームがついているおかげで、こういった状況のコントロールは以前よりかなり楽になった。4年前の僕だったら、ストレスを感じて、エネルギーを浪費していたかもしれない。でも、今の僕にはチームメイトがついている」(ポガチャル)
むしろ分断の犠牲となったのは、今大会最強スプリンターのほうだった。しかもミランを含むリドル・トレックは、ほぼ丸ごと後方集団へと取り残されてしまった!
「僕が少しストップを余儀なくされ、ちょうど集団の後ろにいたときに、前方で分断の動きが起こってしまった。すぐに何が起こったのかを理解したんだ。できるだけ早く第2集団の前方へと駆け上がり、追走にとりかかった」(ミラン)
トーマス曰く「風向きが悪かった」、ポガチャルの言葉を借りると「向かい風」。そのせいか、たしかに、それほど大きなタイム差は生まれなかった。せいぜいが15秒程度。第1集団は常に手の届きそうな場所にいた。しかしカーデン・グローブス率いるアルペシン・ドゥクーニンクが、ライバルを完全に蹴落とそうと集団牽引を始めてしまったものだから、手に汗握る時間はすぐには終わらなかった。
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