60歳を過ぎて「書」を始めたダイアモンド☆ユカイ、子育ては“半卒業”… 大物ロッカーの引退が後押しに
白と黒の世界は「おあつらえ向き」 作品の初購入者はあの有名芸人兄
こうして書の世界に進んでみると、思っていた以上に自分に合っていたという。 「俺は昔から絵が好きでよく描いていた。ただ、デッサンは褒められるのに、色を入れると評価が急落してさ。色を使うのが苦手だったんだね。だから書道の白と黒の世界は、俺におあつらえ向きだったんだよ」 弟子入りしてまだ1年も経っていないが、独自の書道を広めたい師匠の方針もあり、人前でパフォーマンスする機会を得てステージに上がっている。 初めて書のパフォーマンスを披露したのは今年8月、大阪市の大丸心斎橋店で行われたイベントだった。その場で書いたばかりの作品を販売したところ、いきなり2人が購入。うち一人は漫才コンビ「メッセンジャー」黒田有の兄で、イベント企画会社を経営する黒田旬氏だった。 黒田氏は「初めてのステージで緊張の塊やったと思うのに、あれだけ人がいる前でバシっとあの表現をできるってね。これは押さえておかなアカンと思ったんですわ」と、先々、価値が上がると見越して購入したと明かした。 「牧田先生は教えてくれながら、『どんどん好きなように書いて伸びていって』という人。正直言って俺はまだ自分の書を掴めてはいないから、牧田先生の字をなんとか真似ながら書いている段階だね。やってみて分かったのは、始める前は“ただの字”だと思ってたけど、書いたものに心が出るんだよ。それに心と体がつながらないと、いい字を書いても意味がないんだね。本当に少しずつ勉強する日々。発見すること、学ぶことが多くて、楽しみながら長く続けられそうだよ」 そう笑顔で語るユカイ。60歳を超えてから新しいことに挑戦し、楽しんでいる姿は、同年代の人たちにも刺激を与えそうだ。
子育て“半”卒業のワケ
ところで、ステージ上で宣言した“子育て半卒業”は、どういう思いからの言葉なのか? 「双子の子供たちが今年、中学校に入ってさ。昔ならそろそろ“元服”して大人として扱われる年齢だよ。だけど俺が甘やかし過ぎたのか、身の回りのことも自分たちではやろうとしないんだ。たとえば翌日の学校の用意とか、翌日来ていく服の準備とか。やっぱり子供はかわいいからさ、なんでもやってあげたいと思って今までやってきたけれど、こっちがやるのが当たり前のようになって、やってくれるのを待つようになってね。これじゃいけない。突き放すことも必要だと思ったんだ」 そう考えたユカイは、2人の子供に対して「俺の人生、先は決して長くない。俺にはこの先の人生でやらなきゃいけないことがいっぱいある。お前らはもうすぐ中学2年生になる。そろそろ自分のことは自分でできるようになれ」と子育てからの“半卒業”を宣言したという。“半”をつけたのは、「子育てをやめるわけじゃないから」。 「子供との関係が新しいフェーズに入り、今までより距離をあけて、自立を促す段階に入ったってことだね」 実はこの宣言の背景には、ある人の引退があったという。