60歳を過ぎて「書」を始めたダイアモンド☆ユカイ、子育ては“半卒業”… 大物ロッカーの引退が後押しに
この3月までPTA会長を務めるなど、“子育て熱心パパロッカー”として知られるダイアモンド☆ユカイ(62)が、ステージ上で「もう子育ては半卒業する!」と宣言した。いったい何があったのか? 卒業ではなく“半卒業”という耳慣れない言葉を使った真意とは? さらに半卒業で生まれる時間は何に使うのかなどを、本人に直撃取材した。【華川富士也/ライター】 【写真】“書道家”ユカイの作品 「初購入者」は某有名芸人の兄だった ほか
書道家に弟子入り
10月初旬のある日、ユカイの姿は栃木県宇都宮市にあった。 手には筆、目の前には大きな半紙。しばし精神統一した後、自身が歌う「誕生」という曲に合わせ、体を大きく使って一気に「心」と書き上げた。 ロックボーカリストのユカイが、書道のイベントに登壇して書を披露したのだ。 実はユカイ、今年に入ってから書道家の牧田悠有氏の弟子となり、師匠と共にイベントのステージに立つようになった。この日はヤマダデンキで行われた「北関東ラーメンフェスタ」で書のパフォーマンスと歌唱ミニライブを行っていた。 冒頭の発言が出たのは、その書&歌唱のステージ中。近況を語りつつ「子育ては半卒業する」と発言したのだ。発言の真意、そしてなぜ書のパフォーマンスを行なっているのかをユカイに聞いた。
書を知り「アートじゃん、これ」
まずロッカーのイメージからは正反対にありそうな「書」について。なぜ書道家に弟子入りし、パフォーマンスを行なっているのか。 「60歳を過ぎて自分のルーツを振り返りながら、これから自分が何をやっていくべきかを考えていてさ。爺さんが能をやっていたことを思い出したんだ。東京の大森に屋敷があって、家の中に能の舞台があってね。小学生の頃にその家に遊びに行って、舞台で薙刀みたいなのを振り回して遊んでたら、花瓶を割って婆さんに死ぬほど怒られたことも思い出した(笑)。能をやっていた爺さんのことを思い出しているうちに、俺はちゃんと日本の文化に向き合ってきたのか? これからの人生で日本文化に触れることをしっかりやりたいと考えたんだ」 そこで頭に浮かんだのが、柔道、剣道、合気道、茶道、華道、書道などの“道(どう)”だったという。 「“道”とつくものは、単に技術を上げて勝ち負けを競うだけではなく、精神面や作法も向上させて身につけていく。日本ならではの極め方だよね。まさに自分が触れたい世界だった。しかし敷居が高くてさ。どれを選べばいいかと決めかねていた」 武道はこれから始めるには年齢的、体力的に厳しい。茶道、華道、書道は足を踏み入れにくいイメージがあったという。 「これは世代的なものかもしれないけど、茶道、華道、書道って、正座して先生に厳しく叱られながらってイメージがあった。どこに行って始めたらいいかも思いつかなかったしね。そんな時に知人から牧田先生を紹介され、まず書を見たら、自分が持っていた書のイメージとは全く違ったんだ。『アートじゃん、これ』って。で、会ってみたらとてもざっくばらんな人だし、話してみたら気が合って、この人に師事して書道をやりたいと思ったんだ」