「ヤングケアラー」の問題はどう解決すればいい?当事者、元当事者、周囲の人ができること
家族の介護、その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者を指す「ヤングケアラー」。当事者、元当事者、そして周囲の人が、問題を改善するためにできることとは? ヤングケアラー研究の第一人者である成蹊大学文学部現代社会学科教授の澁谷智子さんにお話を伺いました。 【メンタルヘルスを整えるアイデアまとめ】自分でできる呼吸法、セラピー、瞑想ほか(画像)
■誰かに相談したくなった時、ヤングケアラーが頼りにできる人や場所 ――ヤングケアラー当事者が、頼りにできる人や場所はあるのでしょうか? 澁谷先生:ヤングケアラーのなかには、大ごとになるのが嫌で他人に家族のケアのことを相談しづらいと感じている人も少なくありません。しかし、「誰かに話を聞いて欲しい」と思った時には、身近なところですと、学校の先生やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、子どもの居場所や学習支援教室のスタッフなどに頼ることができます。こうした人たちのサポートを受けることで、一人で抱え込んでいたときよりも、より多くの情報にアクセスできるようになって、選択肢が広がることがあります。 私がお話を聞いたことがあるスクールソーシャルワーカーの方は、中学生のヤングケアラーに対して高校進学サポートを特に大事にしているそうです。その学校では進路の話は7月頃になされるそうですが、ヤングケアラーの生徒には4月から準備をはじめるとのこと。担任の先生に高校の種類や奨学金の情報を伝え、その生徒とも個別に丁寧に話すことをしているそうです。こうした助けを借りることで、「ケアで余裕もお金もないし進学は無理」とあきらめていた生徒も、将来に希望を持てる可能性が出てくるそうです。 また、地方自治体ではピアサポート(当事者同士が交流できる居場所)やホームヘルパーの派遣など、ヤングケアラーとその家庭を支援する取り組みが進められています。さらに、NPOや民間団体などもさまざまなサポートを提供していますので、自治体が発行しているハンドブックなどを確認してみてください。